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2023 Fiscal Year Research-status Report

当事者意識を喚起する災害および避難に関する情報提示デザイン

Research Project

Project/Area Number 20K11911
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

泉 朋子  立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70551505)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords難行動支援 / 防災 / 情報デザイン / インタラクション
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,災害発生時の避難行動を促すために,情報の受け手に当事者意識を喚起させる情報提示デザインを提案することを目的としている.既存の情報表現の問題点を整理し,端末所持者の周辺環境と状態を考慮した情報提供デザインを検討する.
情報の受け手のスマートフォンに表示する情報を対象とし引き続き検討を行った.既存のエリアメール等の避難喚起メールでは,対象地域に画一的に情報を提供していることから,情報の受け手にとって「私に向けられた情報である」と解釈されないことが問題であるとし,この問題を解決する情報提供手法を検討した.「自分に向けられた情報である」と解釈される情報提供を実現するために,心理学分野で扱われている自己関連付け効果に着目し,情報の受け手の行動を具体的に指し示す内容を避難喚起メッセージに含めることを提案した.さらにそのメッセージを人型エージェントが音声による語り掛けで伝達する手法を提案した.それぞれの提案内容の効果を検証する実験の結果,受け手を具体的に提示する表現は自分に向けられた情報であるという感覚を高め,人型エージェントから音声により情報提供することで,災害に対する当事者意識,危機感の喚起に有効であることを示した.本成果は国際会議HCII’23で発表をし,学術論文へも投稿し条件付き採録の結果を得ている.また,実際の災害時と同様に,避難行動をとることに対してコストが発生する状況下においても提案手法が有用であるかの検証を行い,提案手法は避難行動を誘発する可能性が示唆された.この実験で得られた知見は国内の研究会で発表をしている.
上記の成果に加え,避難行動をとっている周辺の避難者についていくことで避難を促すための情報提示についても検討し,他の避難者とのつながりを示す表示がその他者について避難しようとする気持ちを高める効果を示した.この成果についても国内の研究会で発表をしている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の研究活動は非常に順調に遂行できている.特に,個々人が携帯するスマートフォンの特性を生かし,情報の受け手が「自分に向けられた情報である」と解釈されるような情報提示手法の提案と,それが災害に対する当事者意識の喚起に有用である可能性を示したことは大きな成果である.
しかし本研究期間の1, 2年目がコロナ禍であったために実験協力者に参加してもらう実験が計画通りには遂行できなかった影響が残っている.特に実験参加者に参加してもらい,避難行動に対するコストが発生する,実際の災害状況に近い実験設定における実験は昨年度に初めて実施することができたものである.研究期間を延長して実施する次年度には,これらの取り組みを発展させ,さらに得られた成果を国内外の学会や論文誌で発表することに注力する.

Strategy for Future Research Activity

これまでに既存の情報提示のデザインと新たに提案した表現について比較検証し,既存の表現の問題点と提案した表現の効果を示した.特に,災害に対する危機感を高めるために心理的要因を取り入れた表現の比較検証では,恐怖喚起コミュニケーションの効果を示した.さらに,災害に関する情報表現について肯定的,否定的視点からの表現という観点を導入し,同じ状況を表現する内容であっても視点が異なると災害に対する危機感や災害の捉え方が変わることを明らかにした.今年度には,情報の受け手が「自分に向けられた情報である」と解釈される情報表現,および情報提示法を検討し,受け手を指し示す表現や人型エージェントからの音声による語り掛けが災害に対する当事者意識を喚起する可能性を示した.これらの研究成果から,当事者意識を喚起する情報提示デザインの設計指針について,本研究の成果から一定の知見を提供できたといえる.研究期間を延長して実施する次年度には,ここまでに得られた知見を学術論文誌等で発表し,社会に向けて提供することに注力する.
また,これまで検討をしてきた内容は,情報の受け手である個人に焦点を当て,個人が所有する携帯端末から取得できる情報の受け手の位置情報や状態情報,操作履歴を活用していた.研究計画書に記載している,情報の受け手の周辺環境を考慮した情報提示についての検討が不足しているため,次年度に特に注力する.特に,これまでの検討から,情報の受け手の個人だけでなく,かかわりのある環境に存在する他者の情報が行動誘発に有用である可能性を見出している.このような外部環境や複数人の行動が影響を与えるような実験環境を設定し,効果検証をすることはコロナ禍では実施できなかった.これらの研究活動を,研究期間を延長する次年度に実施する.

Causes of Carryover

本年度は実験協力者が参加する実験が実施でき,また国内外の研究会で成果発表をすることができた.そのため,本年度のみに着目すれば,ほぼ予定通りの研究の遂行,および研究費の執行であったと言える.
ただし,1, 2年目に行動規制が行われたために遂行できなかった実験や,成果発表のための国内出張や海外渡航ができなかったことの影響が残っており,遅延している研究活動に相当する研究費が継続して残っている状況である.
次年度は本年度と同様に本格的に研究活動を実施できると考えられる.「今後の研究」で述べたように,遅延している研究活動も含め,当初計画のとおりに研究内容は遂行する予定である.そのため,検証実験を実施するための実験環境整備にかかる費用や,実験協力者,および実験の補助にあたる研究補助者への謝金が今後必要である.また,成果報告を積極的に行うため,国内外の学会への旅費や,学術論文誌への掲載料が必要となる.

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] エージェントからの音声による個人化された災害情報通知が避難時の行動選択に与える影響の模擬的検証2024

    • Author(s)
      矢野友貴,安藤雅行,大津耕陽,泉朋子
    • Organizer
      第19回日本感性工学会春季大会
  • [Presentation] 災害時の吸着誘導避難において先導者への追従を誘発するAR情報提示手法の提案2024

    • Author(s)
      山本樹,安藤雅行, 大津耕陽, 泉朋子
    • Organizer
      第19回日本感性工学会春季大会
  • [Presentation] Verification of the Effects of Voice and Personalized Disaster Information from an Agent on Awareness that Disaster is Relevant to Oneself2023

    • Author(s)
      Tomoki Yano, Masayuki Ando, Kouyou Otsu and Tomoko Izumi
    • Organizer
      the 25th International Conference on Human-Computer Interaction (HCI’23)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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