2021 Fiscal Year Research-status Report
Olfactory Display Using Electrostatically Extracted Ink Jet
Project/Area Number |
20K11912
|
Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
家永 貴史 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (00393439)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 静電誘引形インクジェット / 嗅覚ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,静電誘引形インクジェット技術を用いた嗅覚ディスプレイの実現に向けた基礎データの獲得と装置の制御技術の確立を目的としている.特に,嗅覚情報の元(要素臭)となる精油などの物質を,静電誘引形インクジェットを用いて飛翔させるための条件について明らかにすることを目指している. 今年度は,静電誘引形インクジェット装置の仕組みを応用した嗅覚ディスプレイ装置の改良,データ取得環境の構築,基礎データの収集を計画していた. 装置の改良については,PCからの制御により印加電圧を制御できるように,制御回路のハードウェア及びソフトウェアの設計・実装を中心に行った.一部実装が完了していない部分があるため,早期に完成させたい. データ取得環境の構築については,カメラにより液滴の飛翔の状況を撮影できるようにした.一方で,液滴の飛翔について定量的な分析は出来ていない.この要因の一つとして,液滴の境界面がうまくとらえられていない等,画像の鮮明さが不足している点が挙げられる.そのため,撮影方法や撮影環境の改善を今後行っていく必要があると考えている. 基礎データの収集については,昨年度に引き続き,パラメータの組み合わせを変えながら,探索的かつ定性的に飛翔する条件を探った.静電誘引形インクジェットにおける塗布物の飛翔に影響を及ぼすパラメータとしては,ノズルの内径や先端の形状,ノズルの設置方向,ノズルの印加電圧と対向電極の配置,シリンジ内部の静圧の他,精油の粘度などの特性,希釈液の種類や濃度など様々なものが考えられるが,現時点では,それぞれの精油に対して安定的に飛翔させる条件を見つけるには至っていない.ある程度変数となるパラメータを固定し,変数を絞った上で,データを整理し,成果発表につなげたいと考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
精油を希釈した溶液を静電誘引形インクジェットで飛翔させ,嗅覚ディスプレイとして応用できる可能性については,昨年度に引き続き,定性的に確認できた一方で,定量的な分析ができておらず,遅れていると評価した. 遅れた主な要因としては,スケジューリング面の失敗があげられる.昨年度の反省にもとづき,より効率良くデータを取得できるように,既存装置の改良を優先的に進める計画で実施していたが,必要となる部品や部材の調達時期などの関係から,改良中の装置を一旦元に戻してデータ取得を行うなど,効率的に進められなかった部分があるため,改善が必要である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方としては,まずできるだけ早く,現在行っている装置の改良を完成させる.それと同時に,撮影環境の改善を行い,液滴の境界を現在よりも明確に把握できる画像の取得を目指す. その上で,嗅覚ディスプレイとして実現するという観点から,固定すべきパラメータを絞り込み,基礎データの取得を行い,知見を蓄え,成果発表につなげていきたいと考えている.
|
Causes of Carryover |
装置の改良に遅れが出ており,実験データの取得に必要となる材料・部材・消耗品類の購入が予定よりも少なくなった.また,研究計画の遅れに伴い,外部発表に関連する支出に関しても,予定よりも少なくなっている. 次年度は,物品調達に時間がかかることを十分に考慮し,補習部材等の事前調達や実験データの取得に必要な実験材料・消耗品の早期調達を行い,時間的な問題への対策を行うとともに,研究計画の遅れを取り戻すべく,今年度分も含め実験材料等の購入を行う予定である.
|