2023 Fiscal Year Annual Research Report
Olfactory Display Using Electrostatically Extracted Ink Jet
Project/Area Number |
20K11912
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
家永 貴史 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (00393439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 静電誘引形インクジェット / 嗅覚ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新しい嗅覚提示装置の実現を目指し,装置の試作と基礎データの取得を行い,その制御方法を明らかにすることを目的としていた.具体的には,ノズルに電圧をかけることでインクを飛翔させる静電誘引形インクジェットの技術を,嗅覚提示装置に応用可能か調べることであった.もしインクの濃淡のように匂いのもととなる精油等の物質(要素臭)の濃度を変化させて噴射させることが可能であれば,より豊かな嗅覚情報の提示ができるようになる可能性がある.一方で,静電誘引形インクジェットで,精油やその希釈液を飛翔させられるのかは明らかではなかった.静電誘引形インクジェットは,ノズルに印加する電圧の大きさや対向電極の配置や形状,シリンジ内の圧力,ノズル径,飛翔させる物体の物性など,飛翔に影響を与える可能性があるパラメータが多い.そこで,本研究では,実機での実験を通じて検証を行っていく計画とした. 研究期間全体を通して,静電誘引形インクジェットの技術を応用した嗅覚提示装置の試作・改良を行った.半導体部品の入手性の問題等もあり,当初計画よりも遅れが生じたものの,試作機を完成させ,基礎データを取得できる環境を整えた.最終年度においては,電圧の印加により精油の飛翔のON/OFFを制御できるか,及び,ノズル径が飛翔に必要な印加電圧に影響を与えるかという点について実験を行い,検証を行った.その結果,印加電圧を調整することで,要素臭(ラベンダーの精油をホホバオイルで5%に希釈したものを用いた)の飛翔の有無を切り替えられることを確認した.また,ノズルの内径により,飛翔に必要な電圧が異なることを確認した.これらの結果は,国内の学会において口頭発表を行った. 一方,現有機材では飛翔の状況を十分には把握できていない可能性も示唆されたため,今後は,撮影環境も含めた改良を行い,他のパラメータについても影響を調べていくことが必要である.
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