2020 Fiscal Year Research-status Report
外力・応力情報を用いたベイズ推定による脳波アーチファクト除去の高精度化
Project/Area Number |
20K11913
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梅原 広明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報工学研究室, 研究マネージャー (60358942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳波加速度同時計測 / 最尤推定 / 最大事後確率推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
当機構が開発したバネ型脳波電極に加速度センサユニットを取り付け,加速度値から運動アーチファクトの推定を試みた.まず,当機構で所有する脳波計測装置と時刻同期が可能な記録装置に,アナログ加速度センサユニットを配線した.加速度センサを電極に取り付ける際に,同ユニットの荷重でバネ型電極のたわみを最小にするために,電源部分及び記録装置を電極から離れた脳波計ヘッドギア後頭部に取り付け,そこから加速度ユニットにコード配線を施した.その際に,身体運動による接触不良が起こらないように工夫した.なお,加速度値の記録は当機構で所有しているアナログ外部入力計測モジュールを用いた.このモジュールは脳波計測装置とマイクロ秒精度で時刻同期させることができる.加速度センサユニットを取り付けた電極は正中中心部 (Cz) に配置した. 運動アーチファクトの推定は Crosse et al. (2016, Front. Hum. Neurosci.) で発表された多変量時間応答関数法 (mTRF) を用いた.3軸加速度の各3変量が独立であると仮定したインパルス応答を求めることに相当する.ただし,窓長を含めたハイパーパラメータが未知であるため,先に,それらをベイズ推定に基づく最尤推定により求めた. トレッドミル歩行中の聴覚オドボール課題に対する脳波・加速度同時計測を少人数被験者で試みた.脳波電極信号からは同課題で得られるはずの N100,P300 を視認することが難しい場合においても,運動アーチファクトを mTRF で推定し除去した後には N100,P300 とみられる波形を得る初期結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染防止対策を優先させるため,論文化するにあたって必要な多人数による実験を見送った.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症対策と両立させるために,少人数による計測でも論文化に適する統計解析を行うことのできる実験課題に改変することを試みる.具体的には,トレッドミル歩行速度を一定ではなく予めプログラムされた可変する速度にし,様々な歩容に対する運動アーチファクトを発生させることで多人数計測に相当する推定ができると予想したため,緊急事態宣言が解除された後に実施したい.
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Causes of Carryover |
当初計画では加速度センサモジュール及び記録装置を購入する予定であったが,当機構が所有するアナログ入力計測モジュールに安価な加速度センサ ADXL335 を工作して接続する方が電極にかかる荷重が減るため,自作のみで済ませた. 次年度の使用計画としては,運動アーチファクト低減を電気的に高精度に行うことができるとされる脳波計測システムが販売されている情報を得たため,その購入に充て比較実験を行う.あるいは,ADXL335 より高精度なアナログ加速度センサを用いる可能性がある.
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