2021 Fiscal Year Research-status Report
外力・応力情報を用いたベイズ推定による脳波アーチファクト除去の高精度化
Project/Area Number |
20K11913
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梅原 広明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報工学研究室, 研究マネージャー (60358942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳波加速度同時計測 / 最尤推定 / 最大事後確率推定 / ハイパーパラメータ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
不規則な身体運動が伴う実環境におけるばね型ドライ電極による脳波計測技術を確立するため,速度が変動する状況下における歩行中聴覚課題に対する脳波及び電極にかかる加速度の同時計測から,脳波計が動くことによって引き起こされるアーチファクトを低減する推定法を完成させた.そして,トレッドミル上歩行中及び着席中に,ばね型ドライ電極及びペースト電極での同時計測を行い,運動アーチファクトの低減性能を適応型フィルタに基づく先行研究手法 (Kilicarslan et al., 2019; Rosanne et al., 2021) と比較した.先行研究でも脳波及び加速度の同時計測を行ってはいたが,低減推定の際に新たに設定する必要がある未知定数の推定方法が詳述されておらず,体系的な推定方法も無いため Scanlon et al. 2020 等で用いられた現象論的に聴覚オドボールに関する脳波振幅を最大とする未知定数を採用しアーチファクト低減を試みた. なお,本研究手法ではベイズ推定に基づくデータ駆動による未知定数推定法を2020年度に目的関数として定式化していたが,そこで得られた目的関数の最大点を求めるためには数値計算に頼らざるを得ない.ただ,その目的関数を精査したところ,最大点となりうる未知定数の範囲を狭めることを証明することができた. 脳波計測のベンチマーク指標を提唱した Oliveira et al. 2016 に基づき,運動アーチファクトが発生しにくい着席中の計測波形や歩行中のペースト電極での波形と,歩行中ばね電極の脳波波形を比較した結果,本研究手法では先行研究手法に対し波形が有意に類似していた.以上のとおり本研究手法の優位性を示し論文執筆中の段階に至らせた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染防止対策を優先させるため今年度も多人数による実験が難航していたが実験,そして,解析を行うことはできた.しかし,年度内に論文投稿するまでは至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは論文執筆及び投稿を終わらせ,次に,電極にかかる加速度等からの運動アーチファクト推定式を,設置した3軸加速度計の座標系における重ね合わせだけではなく,脳波計ヘッドギアの振動モードを考慮した座標系に改め,さらに,アーチファクト除去脳波がガウス揺らぎであるという仮定からより現実の脳波に近い仮定に変更したベイズ推定式を組み上げ,アーチファクト除去精度の向上を目指す.
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Causes of Carryover |
今年度に購入を検討していた運動アーチファクト低減を電気的に高精度に行うことができるとされる脳波計測システムは,本実験で重要な時刻同期された加速度値のアナログ入力を無変換で記録する機能を有していないことが判明し,別途,時刻同期入力方法を検討しなければならないため,次年度に検討を継続させることとした.
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