2022 Fiscal Year Annual Research Report
元テキストの論理構造を適切に反映した議論グラフの作成手法の構築
Project/Area Number |
20K11931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 和紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (80158097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 源立 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (40433700)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 議論グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然言語で書かれた議論を表現するための議論グラフの評価方法を発展させるとともに、評価手法に基づいた分析手法を考案し、理論的および実験的に有効性を示した。実例としては、小さな議論グラフ、(ICCMAの)大きな人工的議論グラフ、審議会とSNSの議論グラフ、倫理問題として有名なトロリー問題の議論グラフなどを検討した。 評価方法は議論グラフから微分方程式を導き、その解を値とするものであるが、前年度の研究により、不動点が複数ある場合やリミットサイクルとなる場合があることがわかっている。そのような場合に値を求める方法として、定常分布を設定し、その期待値を値とする方法を考案した。その期待値は初期値をサンプルして計算した場合にサンプル数の平方根に反比例して正しい平均からの誤差が減少する。これに基づいて、二つの変数の値が一致しているかどうかの判定方法を考案した。また単に期待値を取るのではなく、不動点が複数ある場合に、サンプルごとの変数の値の大小の相関分析から、aが大きい場合はbが小さいという傾向を抽出する可能性も示した。 自然言語で書かれた議論の類似度について、(一般的な文章を用いた)事前学習に(議論の特徴で)ファインチューニングする深層学習を用いたものを実際の議論に適用し、類似した議論の値が近づき、妥当な結果となっていることを示した。 分析手法としては、不動点における残留コスト(どの主張が満たされていないか)、釣り合い(どの主張が強く効いているか)、有効度(その主張は値を決めるのに働いているか)などの分析指標を考案した。これらの分析指標から、審議会とSNSの議論の違いが明らかになった。また、倫理問題では、結論への反論には反論するが、積極的に支持はしない傾向が明らかになった。さらに、複数の議論グラフを重ねた議論グラフに生じるサイクルから、適切な主張とそうでない主張の区別の可能性を示した。
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Research Products
(2 results)