2020 Fiscal Year Research-status Report
不確実ネットワークにおける時間制約の下での重要ノード・リンク抽出に関する研究
Project/Area Number |
20K11940
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大原 剛三 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30294127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 和巳 神奈川大学, 理学部, 教授 (80379544)
木村 昌弘 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (10396153)
伏見 卓恭 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (80755702)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大規模不確実ネットワーク / 重要リンク抽出 / 重要ノード抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,広域道路ネットワークにおける災害時避難問題やインターネット上の社会ネットワークにおける情報拡散問題などを前提に,ネットワーク中のノード・リンクが一定の確率で機能しなくなる可能性をもつ不確実ネットワークに対して,一定の制限時間の下での特定の目標ノード集合への可到達性(連結性)に基づいたノード・リンクの重要性指標を定義し,大規模かつ不確実な複雑ネットワークからその指標の下で重要なノード・リンクを一定の精度を保証しつつ効率的に同定する枠組みの実現,ならびに,現実タスクにおいて実際に同定されたノード・リンクがどのような特性をもつのかを明らかにすることを目的としている. 研究期間初年度は,当初計画していた実施項目のうち時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく潜在的重要ノード・リンク同定法の開発について,まずは静的な大規模複雑ネットワークにおいて効率的に潜在的重要リンクを同定する手法を実現した.また,時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく重要ノード・リンク同定法の開発については,競合するグループチェーン店が存在する状況下におけるグループ間競合・グループ内協調を考慮した店舗出店・閉店位置同定という応用問題に対して,同重要ノード同定法を適用し,その有用性を示した.また,大規模不確実ネットワークの分析技術の1つとして,リンク接続関係に基づくノード重要性指標の1つであるPageRankを大規模複雑不確実ネットワークの下で厳密かつ高速に計算することができる手法を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた4つの研究項目のうち,大規模複雑不確実ネットワークにおける時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく重要ノード・リンク同定法の開発に関しては,その基盤となる静的な大規模複雑ネットワークにおける時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく潜在的重要ノード・リンク同定法を既に実現している.大規模複雑不確実ネットワークにおける時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく潜在的重要ノード・リンク同定法の開発に関しても,本年度に静的な大規模不確実ネットワークに対する手法を確立した.また,予測シミュレーション技術を用いた不確実ネットワーク分析基盤の構築に関しても,従来の中心性指標を対象にした手法を確立しており,これらを組み合わせることで,目的とする大規模不確実ネットワークの下での重要ノード・リンクおよび潜在的重要ノード・リンクの同定の実現が可能となる状況である.また,重要ノード・リンクの数理的特性の分析に関しては,店舗配置問題への適用基盤を構築できたことから,準備期間も含めてこれまでに実現してきた災害時避難問題,緊急搬送問題などと合わせて,重要ノード・リンク,潜在的重要ノード・リンクの特性を分析する基盤を整えた状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目以降では,準備期間も含めたこれまでの研究で得られている基盤技術を適宜,組み合わせることで,目的としている大規模複雑不確実ネットワークにおける時間制約付き目標ノード指向中心性に基づく重要ノード・リンク,および,潜在的重要ノード・リンクの同定手法の開発を進める.また,得られた重要ノード・リンクの特性分析における比較対象として,大規模不確実ネットワークの下での他の重要性指標に基づく重要ノード・リンクが必要となることから,それらを効率的に求める手法についても検討する.
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウィルス感染症の世界的な流行に伴い,研究成果発表のために参加予定であった国際会議がすべてオンライン開催となり,その渡航費が不要となるとともに,参加登録費も減額されたため,約93万円が残ることとなった. (使用計画)次年度の使用においては,上記次年度使用額に加えて74万円程度を研究代表者・分担者4名の旅費・会議参加費に充当し,30万円程度で評価実験に利用する計算機の調達を予定している.また,6万円程度をアルバイト謝金に充当する予定である.
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