2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Event Identification for Small-sized Space Debris Based on Admissible Region
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20K11945
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Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
藤田 浩輝 日本文理大学, 工学部, 准教授 (00315110)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スペースデブリ特徴抽出 / 破砕物体群軌道特徴分類 / 地上観測計画立案手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実施計画において,初年度は,「カタログ化された破砕デブリの軌道情報(TLEデータ)の収集および整理」と,「既知の破砕デブリの軌道情報を用いた観測計画や観測物体同定手法の導出」を行うことを目的としていた. そこで,ある特定の観測地点・日時において地上観測を行うことを前提に,破砕由来が既知でカタログ化されている物体(以降「カタログ物体」と記述)の個数が多い5種類のスペースデブリ(破砕デブリ)について,それぞれの物体の軌道情報(TLEデータ)を収集した.なお,一般に公開されているこれらの軌道情報は,同一物体であっても軌道情報の起点となる元期(基準日時)が異なるものが多数含まれるため,実際の観測日時に近い元期のデータを用いることが望ましい.ただし,実観測と全く同じ日時の元期のTLEデータを取得することは困難であり,できるだけ観測日時に近いTLEデータを用いて,軌道運動や軌道摂動モデルに基づく軌道伝播計算により,特定日時のカタログ物体の軌道上位置を推定することになる. 今回,特にこのTLEデータの元期と実観測日時の時間差と,特定の観測地点における観測方向予測精度の関係を詳細に調べ,個々の物体の軌道上位置に基づいて直接観測確率の高い方向を予測することは計算精度上好ましくないことを確認した.一方で,同一の破砕由来のカタログ物体の空間的な分布を統計的に取り扱い,その密度の高い観測方向を予測した場合,軌道伝播計算精度の影響を受けにくいことについて確認できた. また,異なる破砕由来毎にカタログ物体の軌道要素の統計的分布の特徴が得られるため,それを用いた破砕由来同定手法を実際に地上レーダー観測で得られた検出データ(検出された物体群)に適用し,破砕由来に基づく分類が行えることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していたタログ化されたスペースデブリ(特にロケット上段部分や運用終了後の人工衛星の爆発・物体同士の衝突によって生じた破砕デブリ)の軌道情報収集・整理は,今後実観測に応用する可能性の高い物体を中心に順調に進んでいる.ただし,TLEデータの形でデータベース化された軌道上物体の情報には,同一物体であってもその元期(情報の起点となる日時)の異なるものが多数含まれ,データベース自体が日々更新されることや,将来的な観測実験を行う際の観測計画に応用する場合には極力観測日に近い軌道情報が必要とされることを考慮し,今後も過去に収集した物体を含め,データ収集や整理を継続的に行っていかねばならない. また,そのようなカタログ物体の軌道情報を用いた特徴抽出に関しては,比較的サンプル数の多い破砕起源が同一のデブリについて,軌道要素の統計的分布状況を把握できるようになってきている.軌道の特徴を定量的に表す指標として,6種類の軌道要素(ケプラー要素)があるが,特定の破砕由来物体が多く存在すると考えられる軌道高度や破砕後の経過時間によるそれらの分布状況の変化(ピークの鈍化や多峰化)の特徴が明確に見られる軌道要素がある一方,破砕由来による特徴が明確といえないものも多く,今後さらに緻密な解析が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,これまでに検証を進めてきた観測計画立案手法を新たな地上観測実験に適用し,特定の破砕デブリの検出率を上げるための手法改善を進めていく.特に,地上観測の方法として現在他機関との連携により行っているレーダー観測実験(年1回)に加え,市販の光学望遠鏡を用いた光学観測実験の準備を進める.また,観測によって得られた軌道上物体の検出データを用い,ターゲットとする破砕物体の分類・同定解析とその精度の検証についても行っていく.
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Causes of Carryover |
当初国内外における学術会議にて研究調査や成果発表を予定していたが,当年度の新型コロナウイルス情勢により,全てオンライン開催の運びとなり中止せざるを得なかったことや,オンライン開催の会議(特に国際会議)の中には参加登録料の発生しないものなどもあり,当初の想定とは異なる予算支出状況となったため. 「次年度使用額」に関しては,当初予算申請時の状況との差異を考慮し,研究計画の円滑な遂行に役立てる.
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Research Products
(2 results)