2021 Fiscal Year Research-status Report
多値ガウス過程回帰による海底水圧計からの津波即時予測の深化と展開
Project/Area Number |
20K11949
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 康彦 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40733085)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガウス過程回帰 / スパースモデリング / 即時津波高予測 / 海底地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
津波高の即時予測において,予め津波シミュレーションを多数のシナリオについて計算しデータベースを用いた予測が行われている.従来の最適なシナリオをデータベースから検索して津波予測をする場合,シミュレーションで仮定しているシナリオの仮定は実際のシナリオと乖離してしまう.そこで本研究課題では,シナリオ混合による広範囲の津波高即時予測の精緻化を機械学習によって行い,徳島県での津波予測システムのプロトタイプに組み込みを目指す. 本年度は、各センサーにおける津波の到達時刻を沿岸の早期津波予測に用いることで精度向上を行った.早期津波予測には、先行研究では海底圧力計のセンサ点における津波の静水圧変化の最大絶対値のみを用いている(Baba et al., 2014, Igarashi et al., 2016).静水圧計データから線形回帰 (Baba et al., 2014)で予測する手法や、ガウス過程回帰(Igarashi et al., 2016)で予測する手法により,改良した津波高予測アルゴリズムを発表している.これらの手法では静水圧計データの時系列情報を圧縮しているが,各センサ点の時間情報は,津波の到達時刻を予測するだけでなく, 津波が進行する方向に関する情報を持っている点において重要である.そのため,データベースから類似の津波事例を抽出するための特徴量として,センサ点において最大津波高を記録した到達時間が有効であると考えられる. そこで,沿岸都市における最大津波高と,センサ点で最大津波高が記録された到達時間を特徴量として,ガウス過程回帰により沿岸都市の最大津波高を推定した.津波の速度は水深にのみ依存するため, 到達時刻はセンサ点と震源の位置関係によって決定される.到達時間の有効性を検証する為,スパースモデリングにおいて到達時刻を選択されるか,また検証データに正規分布ノイズを加えた場合のロバスト性の比較を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ガウス過程のスパース近似による広範囲津波浸水域予測を推進するだけでなく,各センサーにおける津波の到達時刻を沿岸の早期津波予測に用いることで精度向上を行った.沿岸都市における最大津波高と,センサ点で最大津波高が記録された到達時間を特徴量として,ガウス過程回帰により沿岸都市の最大津波高を推定した.津波の速度は水深にのみ依存するため,到達時刻はセンサ点と震源の位置関係によって決定される.到達時間の有効性を検証する為,スパースモデリングにおいて到達時刻を選択されるか,また検証データに正規分布ノイズを加えた場合のロバスト性が向上することを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き,多値ガウス過程回帰を用いたシナリオ混合による広範囲の津波高即時予測の精緻化を行い,徳島県での津波予測システムのプロトタイプに組み 込み,シナリオ混合のアプローチの実用化を推進する.また,ガウス過程回帰による能動学習によって,シミュレーションデータベースの充実化を計る.具体的 に,以下三つの課題を設定しているが,本年は最終年度として,特に課題3を推進する. 【課題1】複雑な海岸地形や津波反射の影響を受けた1地点津波高予測 【課題2】多値ガウス過程のスパース近似による広範囲津波浸水域予測 【課題3】能動学習を用いた津波シミュレーション高度化
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Causes of Carryover |
学会発表および学会誌への投稿を次年度に延期したため,次年度使用額が生じた.
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