2022 Fiscal Year Annual Research Report
The study of the system necessary for maintaining order in the public good system on the Internet
Project/Area Number |
20K11959
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大平 哲史 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助教 (60711843)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 知能情報学 / ソフトコンピューティング / 生態学および環境学 / 罰 / 協力 / 公共財ゲーム / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究実績としては、個人の合理的な選択が社会としての最適な選択に一致しない、社会的ジレンマの理論モデルの一つである公共財ゲームにおいて、本研究課題開始時に研究代表者が新たに提案した、利得の差に比例した確率的プール罰が、既存研究の罰と比較して、より裏切り者の侵入に対して頑健な集団を構築し、しかも平均利得の面でも従来の罰と比較して遜色がないという結果について、4月にScientific Reportsより論文として出版されたことが挙げられる。 さらに、提案した確率的プール罰を拡張し、いわゆる2次のフリーライダーと呼ばれる、公共財への投資には貢献するが他者は罰しないという者に対する罰を考慮する場合についても研究を進めた。既存研究の罰にはコストγを払って裏切り者に直接罰βを課すピア罰と、先に罰プールにコストGを払っておき、後から裏切り者に罰bが課されるプール罰がある[1]。プール罰とピア罰を比較すると、プール罰では罰の固定費が発生するが、ピア罰に比べて2次のフリーライダーを排除できるとされている。そこで、提案した確率的プール罰と、既存研究のプール罰、既存研究のピア罰の3種類を比較したところ、提案した確率的プール罰は、2次のフリーライダーを完全に排除することはできないが、罰の固定費が発生する既存研究のプール罰や、罰のコストが高い既存研究のピア罰よりも、平均利得の面で優位となった。この結果を2022年度日本数理生物学会年会およびThe 28th International Symposium on Artificial Life and Roboticsにおいて発表したところ、その新規性が高く評価された。今後はその成果を論文としてまとめ、学術誌へ投稿する予定である。
[1] Sigmund, K. et al., Nature 466, 861-863 (2010).
|
Remarks |
2022年11月および12月 Nature Portfolioが発行するオープンアクセスの電子ジャーナルであるScientific Reportsに投稿された論文の査読を担当
|