2020 Fiscal Year Research-status Report
認識および動作制約を利用した手作業における熟練技能の解明
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20K11966
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山野辺 夏樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90455436)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 技能継承 / 動作解析 / VRシステム / 形式知化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,手作業における熟練技能の明確化および,明確化された情報に基づくトレーニングの効率化のための方法論の構築を行う.手作業における熟練技能は,認識・判断,動作実行,またそれらの連動といった多様な側面における上達により実現される複雑なものであり,さらに各側面の上達の仕方(熟練度)は個人差や変化がみられるため,一人の技能者のその時点での熟練状態が唯一解とは限らない.そこで本研究では,認識面および動作面に対して様々な制約を与え技能者に作業を行ってもらい,各制約に対する成果物の差異や,熟練者と一般技能者(初・中級者)間での差異,各制約に対する慣れの変化を解析することで,技能的に何が重要か(または致命的か)を明確化し,保存できる形で形式知化することを目標とする.初年度は,手作業として編み物を対象とし,解析の前提となる熟練レベルを示す評価基準の構築を行った.メリヤス編みの網目パターンに着目し,その均一さを表す定量的評価指標を,網目ユニット間の間隔や形状を表すパラメータを基に定めた.機械編みと初心者の作品を対象とした定性的な外見評価の結果と定量的評価指標の比較を行い,提案指標の有用性を確認した.さらに制約対象の選定を目的として,編み糸の操作指にかかる力の測定を行い,網目パターンの変化と弱い相関がみられることを確認した.認識面については,作業中の視覚情報に制約を与えるためのARシステムの構築を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は評価基準の構築および制約を加えた被験者実験を予定していた.しかしながら,COVID-19の影響で被験者実験については断念せざるを得なかった.機械編みとの比較や,関係者による作業中の力の解析などは進められたが,被験者実験の分遅れが出ている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
評価基準の構築後は,多様な制約を加えた被験者実験を繰り返すことで,熟練技能の抽出および形式知化を予定していた.現状を鑑み,できるだけ遠隔もしくは小規模に計測を行うことのできるシステムを構築し,被験者実験を進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた視覚測定装置に関して,他で所有していた簡易版を使用できたこと.また被験者実験の形式検討に伴い,AR機器の選定等に時間を有し,購入を次年度に繰り越したのが理由である.次年度使用予定である.
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