2022 Fiscal Year Research-status Report
時間経過に伴い変化する動的システムのための進化計算手法の開発と応用研究
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20K11972
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林田 智弘 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20432685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 大助 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (30432686)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動的システム / 進化計算 / 動的スケジューリング問題 / ルール分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,時間経過とともに変化を伴う「動的システム」のための進化計算手法の開発とその応用研究を目的とする.遺伝的アルゴリズム (GA: Genetic Algorithms) や遺伝的プログラミング(GP: Genetic Programing),粒子群最適化手法 (PSO: Particle Swarm Optimization) などの進化計算手法の解探索能力の向上のためには,個体群多様性と解探索集中化のバランスの取れた両立が重要である.本研究では,これを実現することを目的として,並列分散の進化計算手法において分散最適化された部分個体群を長期的に保持しておく「長期メモリ」を導入することで,動的システムの再現性や周期性などの特性に対応した最適化手法を構築する.特に,木構造で表現可能なルールを進化的に獲得することを目的としたGPに着目することで,動的システムに対する汎用的なルールを効率的に獲得可能なシステムを構築した.また,獲得されたルールを分析することで,動的システムに対して最適化されたルールの抽出およびその解釈を行った.本研究では,現実的な動的システムの一種である様々な動的スケジューリング問題に対する適用実験を通して構築した最適化手法の有用性を示した.さらに,本研究課題において得られた動的スケジューリングに対する有効な優先度決定規則などに関する知見に基づいて,現実の動的システムに対する適用と評価などの実践的研究を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,動的システムに対する効率的に最適化するような進化計算手法の開発,および動的スケジューリング問題への適用と得られたルールの分析を目的としていた.このような観点から本研究課題の目的は達成できたと言える.一方で,COVID-19の影響などにより,現実社会における動的システムに対する十分な調査を実施することが難しく,適用研究は十分に実施できなかったが,この点については動的スケジューリング環境に関する様々な研究報告を参考にシミュレーション実験を実施することで,提案手法の有用性を示すことができたと考える.特に,本研究課題においては,遺伝的プログラミングを分散並列化した最適化手法を複数構築しており,それぞれを比較するための十分なシミュレーション実験を実施することができ,各手法の特性や有用性などに関する知見を得ることができた.一般に,さまざまなスケジューリング問題に対して優先度決定規則である複数のディスパッチングルール(DR)が適用され,その有用性が広く認められるが,本研究課題における提案手法によって,既存のDRと一致あるいは類似するルールが得られ,先人が長年の経験により獲得してきた多くのDRを進化計算手法に基づいて得られることを確認した.一方で,状況によっては既存のルールよりも有用となるような,これまでに存在しなかったルールを獲得することにも成功しており,動的スケジューリング問題に対する優れたルール獲得の構築に成功したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究課題で構築した進化計算を用いたルール獲得の手法を用いて,現実社会における実問題への適用研究や,得られたルールの有用な分析を進めたい.
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Causes of Carryover |
研究計画では,2022年度までに実問題の調査等のための旅費を計上していたが,COVID-19の感染拡大の影響により実問題の調査が実施できず,2023年度に実施期間が延期となり次年度使用額が生じた. 2023年度には当初の研究計画の通り,本研究の成果として獲得されたスケジューリングのためのルール分析および有用性の検証の実施,国内学会・国際会議・学術論文などでの研究成果を広く公表する.これらに加えて,2022年度にCOVID-19の影響で実施できなかった,実問題の調査と提案手法を適用した実践的研究のために使用する.
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Research Products
(8 results)