2020 Fiscal Year Research-status Report
双極性障害の治療に向けた概日リズム神経システムへの効果的なカオス制御機構の開発
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20K11976
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西村 治彦 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (40218201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信川 創 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (70724558)
高橋 哲也 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (00377459)
水野 由子 (松本由子) 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (80331693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カオス制御 / 神経システム / ニューラルネットワーク / 概日リズム / 双極性障害 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
躁状態とうつ状態の病相が循環する双極性障害は,長期に亘って再発を繰り返す精神疾患の一つであり,高い罹患率と自殺率から効果的な治療法の構築が望まれている.これまでに,双極性障害の複数の神経基盤が報告されており,気分安定薬を中心とした薬物療法も提案されている.本研究では,前頭野と視床下部により構成される概日リズムを生成するシステムを利用し,双極性障害における概日活動のカオス-カオス間欠性を安定化するシステムフィードバック信号法の設計を行う.さらに,このフィードバック信号に基づいて,概日リズムを安定化する光療法とメラトニンによる薬物療法を最適化することを目的とする.研究項目としては以下のとおりである.1.前頭野と視床下部を結合した神経システムを構築し,双極性障害の神経活動に対応する病理パラメータ領域を探索する.2.概日活動のダイナミクス推定を行い,その写像構造を明らかにする.3.概日リズムに基づき生成した入力信号によって,双極性障害の神経活動を制御するフィードバック信号の設計を行う.4.概日リズムの制御において,光療法とメラトニンの投薬療法をフィードバック信号に対応させ最適化する. 本年度は,まず,前頭野と視床下部により構成される概日リズム生成システムの構築と分岐・カオス解析として,Hadaeghiらによって提案された概日リズム生成システムに対して,発展方程式に基づいた分岐解析とリアプノフスペクトラムを用いたカオス解析を行った.これにより,双極性障害の病理パラメータ領域を特定できた.次に,概日活動の神経ダイナミクス推定として,概日リズム生成システムにおける発展方程式から,概日活動の写像構造を調べた.さらに,前頭野の神経活動を観測変数として,概日活動の写像構造をアトラクタの再構成の手法により推定し,その推定精度を評価を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の下、研究者間での対面での細部の照合と検討が十分にできず,双極性障害の病理パラメータ領域を特定,および概日活動の写像構造の推定精度の評価について未確定な箇所が残された.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の遅れは軽微なので,当初の研究計画に従い研究を続行する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の下、旅費及び謝金を中心に執行機会が得られなかった。状況の改善に伴い、次年度以降に使用する予定である。
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