2021 Fiscal Year Research-status Report
四元数ニューラルネットワークによるダイナミカルシステムの制御系設計
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20K11980
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高橋 和彦 同志社大学, 理工学部, 教授 (90332808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高次元ニューラルネットワーク / 四元数 / 適応・学習制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイナミクスを有するシステムに対する適応・学習制御手法として,代数表現に基づいて高次元化されたニューラルネットワークを用いて制御系を設計する手法を確立し,その特性を明らかにすることを目的に,四元数ニューラルネットワークをサーボレベルのコントローラとして用いる適応型の制御系の性能について評価・検討した. ・四元数階層型ニューラルネットワークによるフィードフォワードフィードバック型コントローラを設計し,3リンクロボットマニピュレータの軌道追従制御を行うシミュレーション実験を行った.性質の異なる高次元数である余四元数(スプリット四元数),双曲四元数,二重複素数,双複素数を用いるニューラルネットワークをそれぞれ設計し,これらと四元数ニューラルネットワークの比較により,四元数ニューラルネットワークの学習性能と制御性能の有効性を明らかにした. ・最急降下法による四元数ニューラルネットワークの学習において,評価関数の勾配計算に一般化ハミルトン・実数微分を用いる方法を適用し,従来用いていた擬似微分による学習との比較を行い,学習性能が安定することを明らかにした. ・階層型ネットワークの隠れ層ユニット出力を内部フィードバックする四元数リカレントニューラルネットワークに対して,四元数に拡張した通時的逆伝搬法と移動窓関数によりオンライン逐次学習を行う適応同定システムを設計する手法を提案し,非線形システムの出力推定が可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行に伴うオンライン授業および感染対策を考慮して一部再開された対面授業・演習・実験への対応にエフォートを割かれることも多く,本研究課題の遂行に必ずしも十分な時間をもって取り組むことができなかったが,研究実施計画において予定した項目に関し,ネットワーク設計と制御実験に関するシミュレーションでは,おおむね進捗が得られている.一方,制御システムの安定解析では,フォワード型を中心に検討を行ってきていたが,四元数の性質に起因する解析の困難性より,当初の計画に対しての十分な結果が必ずしも得られていない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書記載補助事業期間中の研究実施計画の項目に関して,(1)四元数ニューラルネットワークの設計では,一般化ハミルトン・実数微分を用いる学習アルゴリズムを用いた場合のネットワークの設計と安定解析,評価を進める. (2)四元数ニューラルネットワークをコントローラとする適応・学習型制御系の設計について,擬似微分および一般化ハミルトン・実数微分を用いる学習アルゴリズムを用いた場合を対象として制御系の局所安定解析を行って評価する. (3)制御実験では,ロボットマニピュレータの数理モデルによる計算機実験に加えて実機構による実験を検討する.
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き,新型コロナウィルス感染症の流行に伴い,参加を予定していた国内外での国際会議,学会講演会が殆どオンライン開催となったことにより,旅費が不要になる,会議登録費が減額となる等で使用額が大きく減少している. 助成金の使用計画:2022年度に行われる国際会議・学会講演会への研究旅費および参加登録費,論文投稿に関する諸経費へ使用する.
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