2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Radiation-Distribution Estimation-System with Higher Precision Using Deep Neural Networks and Photon Transport Simulator and Its Implementation on Edge Device
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20K11991
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤本 憲市 香川大学, 創造工学部, 准教授 (20300626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪間 稔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20325294)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線強度分布推定 / 光子飛跡計算 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌内の放射線強度分布推定問題に対し,光子飛跡シミュレータから得られる仮想放射性物質の配置(分布)データと仮想放射線センサーで測定される放射線スペクトルデータとの関係を学習する深層学習システムを構築することによって,土壌内の放射線強度分布を高精度に推定するシステムを開発することが本研究の目的である。 令和2年度は,放射線測定実験装置の製作,光子飛跡シミュレータデータの設定プログラム,深層学習用の擬似光子飛跡シミュレータデータの作成方法について研究した。まず,導入した3次元CAD及びプリンタを用いて,土を格納するための内径5cm,外径12cm,高さ2.5cmのドーナツ型トレーを製作し,ある特定の層にのみ放射性物質が混入した状況を模擬できる実験装置を構築した。次に,当該トレーを20個積層して中央の空洞部分に棒状放射線センサーを配置した円柱形模擬実験場の3次元CADデータに基づいて,光子飛跡シミュレータ用設定プログラムを作成した。これらにより,模擬実験場における実測及び数値シミュレーション実験のための環境を整備した。その他,深層学習用のデータ作成についても検討した。深層学習システムの放射線強度分布推定精度を向上させるためには膨大な学習用データ(光子飛跡シミュレーションデータ)が必要となるが,充分な光子数を設定した場合の数値シミュレーションには長時間の計算時間を要し,深層学習用データを数少ない計算機リソースの下で短期間に大量生成することは不可能である。その解決のため,加算平均や敵対的生成ネットワークを用いて,充分でない光子数を設定した光子飛跡シミュレーションデータから,充分な光子数を設定した場合のシミュレーションデータを擬似的に生成する方法についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌を層ごとに分割可能な放射線強度分布測定実験装置を製作したとともに,その実験場の3次元構造を模擬した光子飛跡シミュレータ用の設定ファイルを作成し,実測及びシミュレーション実験に向けた準備が整った。更に,深層学習に必要な,光子飛跡シミュレーションデータの擬似データ作成方法についても検討し,一定の目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,棒状放射線測定器を保有する大学研究者の協力のもと測定実験を行う予定である。コロナ禍の影響によりもし放射線測定実験の実施が困難となった場合は,光子飛跡シミュレーションデータと実測データとの比較検討の順序を下げ,光子飛跡シミュレーションデータの擬似生成システムの確立と深層学習アルゴリズムに関する研究を先行させる。
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Causes of Carryover |
本研究課題の研究計画段階ではクラウドサービスの契約(仮想GPU計算機のレンタル)を予定していたが,契約費用の見積額が交付額を超過したため当該契約を断念した。また,企業側の都合により,棒状放射線測定器のレンタル契約が不可能となった。前者の代替措置として,当初レンタル予定であった仮想GPU計算機に近い性能を有するGPU計算機の調達を検討した。しかしながら,コロナ禍による半導体部品製造業界及びその物流業界への影響により令和2年度内での調達が叶わない状況となったため,令和3年度に調達する計画へと変更した。後者の代替措置としては,同測定器を保有する大学の研究者へ放射線測定実験への協力を依頼した。測定器の一時的使用について当該研究者の承諾が得られたため,令和3年度に当該大学にて放射線測定実験を実施するための旅費として使用する予定である。
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