2022 Fiscal Year Research-status Report
Stability Analysis of Takagi-Sugeno Fuzzy System and Its Robust Control Design
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20K11996
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
米山 淳 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30283344)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ファジィシステム / 非線形システム / 制御系設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形システムを記述する一つの手法である高木・菅野ファジィシステムに対し、前年度とは異なる新たなリアプノフ関数を用いた安定解析と、それに基づき状態フィードバック則による安定化制御系設計を行った。特に、リアプノフ高次導関数による安定性解析により、ファジィシステムの安定化可能領域を拡大することに成功した。このリアプノフ導関数にもシステムのメンバーシップ関数の積分を取り入れた。これにより、さらなる安定化可能なファジィシステムのクラスを拡張する結果を得られた。 もう一つの研究結果はファジィシステムに対するオブザーバである。未知入力が混入する離散時間ファジィシステムに対するオブザーバ設計を行った。この未知入力オブザーバはシステムの状態を推定するだけでなく、システムに混入する未知入力(外乱信号)も除去する機能を持っている。そのため、外乱にも強いロバストなオブザーバの設計となる。さらに、この結果を高木・菅野ファジィ双線形システムに対しても拡張し、その未知入力オブザーバの設計を行った。すでに、連続時間の高木・菅野ファジィ双線形システムに対する未知入力オブザーバ設計は提案済みであるため、この結果を併せると、より実システムへの実用性が高まったと言える。さらに、数値シミュレーションにより、先行研究の手法と比較し、今回提案した制御系設計法の有効性を実証した。実際、四輪車両の制御モデルに対しても、良好な結果が出ており、理論的な面のみならず実質的な面での有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進展している。前年度に引き続き状態フィードバック則による設計に関して、新たなリアプノフ関数を用いることで新しい制御系設計を提案できた。この結果により、より広いクラスの非線形システムの安定化にも成功した。また、離散時間ファジィシステムに対する未知入力オブザーバの設計も行った。このオブザーバは、単に測定不可なシステムの状態変数を推定することだけでなく、システムに混入する外乱や未知の入力を除去するオブザーバの設計を行った。すでに連続時間システムに対するオブザーバの設計は提案済みのため、離散時間システムに対するオブザーバ設計を行った。これにより、実システムに対してもロバストなオブザーバ設計が可能となった。これらのことは予定外の研究であった。 逆に、予定していた出力フィードバック則による制御設計に関する研究は始めたが、それが今年度中には完成しなかったことが少し懸念材料である。しかし、これまでの研究結果を踏まえて、次年度に完成する見込みである。 なお、今年度も世界的なコロナウィルスの影響で、国際学会や国内学会など研究を発表する場が制限された。特に、国外で行われる国際学会への参加は困難であった。そのため、研究成果を発表することや調査研究として予定していた学会に参加が不可能となったが、次年度はこれらの制限がなくなると期待できるため、これまでに得られた研究結果を発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた結果をもとにして、出力フィードバック則による制御系設計を行う。また、実環境での制御を考えてロバスト性も考慮した制御系設計を行う。これまでに状態フィードバック則による制御系設計とオブザーバの設計を行ったので、これらの結果を基にした出力フィードバック則の設計を行う予定である。出力フィードバック則の設計においては、静的な制御則と動的な制御則の両方での制御系設計を考察する。なお、一般に、高木・菅野ファジィシステムもその一つのクラスである非線形システムに対しては分離定理が成り立たないため、オブザーバを用いずに前件部変数の推定と制御を同時に行う出力フィードバック則の設計も考察する。また、一般的には、出力フィードバック則の設計条件は状態フィードバック則のそれよりも複雑になる。そのため、今年度に用いたリアプノフ導関数による設計条件の緩和や保守性の軽減も検討する。
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Causes of Carryover |
今年度においてもコロナウィルスの影響で、青山学院大学が国外出張の制限を設けていたため、予定していた国際学会への参加が困難であった。同様に、調査目的で参加する予定の国際学会にも参加することができなくなった。さらに、同様な理由で海外からの物品の購入に遅延が発生し、購入を希望するものに制限があった。次年度はこのような状況が改善されると思われるため、関係する国際学会へより多く参加し最新の研究の調査や、自身の研究成果を発表する予定である。また、購入を予定していた物品の購入も行う予定である。
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