2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12002
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Research Institution | Beppu University Junior College |
Principal Investigator |
後藤 善友 別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (60290657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 重俊 岡山大学, 自然科学研究科, 特命教授 (60231495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニューラルネットワーク / 光情報処理 / ニューロモーフィック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、液晶空間光変調器を用いたフィードバック回路で構成される実験システムを構築し、そのシステム内で局所的な液晶振動素子を作成し、フィードバック光の印加方法の工夫により、連続パルス発振をしたり閾値動作をする現実の神経細胞に近いパルス発信素子を考案・作製し、その応答特性の変化を明らかにすることを目的に研究を遂行した。 液晶空間光変調器を用いたフィードバック回路において、液晶空間光変調器の印加電圧に対する応答特性に基づくモデルを作成し、適切なフィードバック条件によって双安定性および振動現象が出現することを確認した。モデルに対する安定性解析から、液晶空間光変調器内に作られた双安定領域は、入力光強度、印加電圧、フィードバック条件により、振動解やパルス解といったダイナミクスを生じることを明らかにした。現時点では、これらの異なる解軌道はフィードバック条件等のパラメータの僅かな変化で変化し、例えばノイズの影響等により解軌道が切り替わる。そのため、実際の実験系における解軌道の安定のために許容されるパラメーターのゆらぎの定量的な評価に加え、パラメーターの変動に対して解がロバストとなるようなパラメーター群の探索の検討を進めている。 また双安定領域に対するノイズの影響に関して、双安定系に対する確率共鳴現象の特性向上に対するOUノイズとDichotomousノイズの違いや自己相関時間の影響を明らかにした(Goto, Phys Rev E, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験機材の調達の遅れ、実験時間・環境の確保等、新型コロナウイルス感染拡大による影響により、当初は2020年に計画していた実験系の構築が遅れている。一方で、モデルの構築およびその解析については概ね研究計画通りに遂行できていること、さらに、ノイズ印加による系への影響は研究計画段階の想定以上の進捗が得られていることから、「やや遅れている」と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系の構築ならびに解析を推進する予定である。2021年度中に、研究計画の遅れを取り戻したいと考えているが、新型コロナウイルス感染拡大による影響が引き続くようであれば、研究期間の延長も含めて研究計画の変更を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による影響で、実験時間及び環境の確保が困難であったこと及び実験機材の調達が遅れていることが原因で、本年度に計画していた実験系の構築に関する研究が大きく遅れている。また、機器調達の遅れに加え、研究費が申請時より減額されたことに対応するための実験機器構成の見直しのために、研究協力者の管理する機器の貸与を受けて実験系を再設計することも検討している。また、当初予定していた学会出張等が新型コロナウイルス感染拡大による影響で全てオンラインとなるなど旅費の支出が無くなったことも次年度使用額が生じた理由である。 2021年度は研究の遅れを取り戻すため、実験系の構築を早急に推進する予定である。実験機材の購入費用が昨年度支出できなかった部分の多くを占めるため、実験系の構築の遅れを取り戻すことで、当初の計画に近い使用額になる見込みである。また、新型コロナウイルス感染拡大による影響が落ち着けば、当初の予定どおり学会等への出張を再開する。
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Research Products
(1 results)