2020 Fiscal Year Research-status Report
Cognitive Decline / Emotional Instability Alarming System for Elderly and Disabled People Living Alone
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20K12005
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
金 天海 岩手大学, 研究推進機構, 客員准教授 (30424815)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 介護 / 認知症 / 精神病 / 人工知能 / 自動化 / 見守り / 異常検知 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、介護分野や病院の人手不足により一人暮らしを余儀なくされる高齢者や精神疾患者が増えている。そこで、一人暮らしの高齢者や精神疾患者の日常生活パターンを記録できるセンサ網を開発した。開発したセンサ網を被験者(20代男性健常者)の自宅に設置して10日間の試験を行った。被験者の行動に応じてセンサ網から得られるON/OFF情報をAIにより解析することで、被験者固有の日常生活行動モデルをリアルタイムに自動生成することに成功した。さらに、日常生活行動モデルから被験者の行動頻度を計算した結果、被験者が日常的にとりやすい行動やとりにくい行動の分類に成功した。また、この試験を通じて、本センサ網とAIが家の間取りやセンサ数などによる調整を必要とせず、技術者でなくとも手軽に屋内に設置して使用できることや、センサ網の設置による生活への支障が無いことも分かった。本センサ網は被験者の情報をローカルに処理するため、プライバシーの秘匿性が高いことも特徴である。 高齢者や精神疾患者が認知症や疾患の悪化により日常生活行動を大きく変容することは良く知られている。本成果により、日常生活行動の頻度変化から認知症や疾患の悪化を検出できる見込みが大きく高まった。 本研究に関連した特許(特願2020-026234)の内容の一部を2021年3月4日に開催されたJST新技術説明会にて発表した。発表の内容はYoutubeにて一般公開されている。 本研究成果を販売する販売企業として、株式会社スカイオーシャンテクノロジー(https://sky-ocean-technology.com/)の設立に至った。代表取締役社長は精神科医の李静雅。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に立てた問いである、「問1:日常生活における行動の変化を効果的に観測するためのセンシングシステムの構成論」、「問2:人工知能に日常生活における行動モデルをリアルタイムかつ自動的に学習させるための方法論」、「問3:日常生活における行動モデルと乖離した行動から発報の要否を判断する人工知能の構成論」のうち、問1に対する構成論と問2に対する方法論が明らかとなった。 センサ網の開発について、現在はドア開閉センサと人感センサの開発と試験が完了しており、当初予定していた通りのデータがとれている。センサ網の設置や運用を大幅に自動化できたため、センサ網の使用に技術者の手が必要なくなったことも予定通りである。 本装置の試験については、現在は健常者宅で行っている。ここで一通りの機能確認を終えた後にお年寄りや精神疾患患者宅での試験を行っていきたい。現在は介護施設などへ問い合わせて被験者を募っているが、介護施設の環境は本研究が第一にターゲットにしている一人暮らしとは異なるため、訪問介護の団体にも問い合わせを行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
「問3:日常生活における行動モデルと乖離した行動から発報の要否を判断する人工知能の構成論」についての研究開発を進める。ここでは、発報の受け手として家族や医療機関を想定している。発報の信頼度(誤報割合、検出感度など)や発報情報の内容などはこの受け手のニーズに応じて調整できる方が良いため、その方法論も模索する。 センサ網の開発について、各種家電製品のON/OFF情報を取得するための電流センサを開発し、センサ網で得られる情報を増やすことでより詳細な行動解析につなげる。クッションや床マットに使用する圧力センサについても導入を検討する。また、現在はセンサの数に制限があるためこれを増設し、より多くの家で試験できるようにしていく。 本装置をより多くの家で試験することで、その有効性を明らかにする。現在、いくつかの介護施設に連絡をとっているが、介護施設の環境は一人暮らしとは異なるため、今後は訪問介護業者などにも連絡をとり被験者の候補を探っていきたい。
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