2020 Fiscal Year Research-status Report
Global Positioning by using Environmental Lighting Fingerprints
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20K12016
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 裕之 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (80338219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自己位置推定 / 深層学習 / 照明光 / 環境フィンガープリンティング / CEPHEID |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本課題のもっとも中核となる要素技術、すなわち「照明光のちらつきを用いて位置を識別する」手法を明らかにすることができた。 その手法は次のとおりである。まず照明光のちらつきを100ないし20kHz程度の帯域でサンプリングする。そしてそれを周波数領域のパワスペクトルに変換し、さらに情報を間引くことで1000次元程度の特徴ベクトルを作る。この特徴ベクトルを1次元畳み込み層を含む深層ニューラルネットワークで学習させ、予測モデルとする。 この手法の実験のためにスマートフォンを用いたwebアプリを作成した。手法自体はスマートフォン本体でも実装可能なものであるが、実験の際のメンテナンス性や、今後の課題になるであろう、利用可能範囲の大域化への対応も検討するために、サーバとクライアント(UI)からなる構成とした。 実験では48個の天井照明光の識別を行い、正解率97%という高い精度で位置推定を行うことができた。また、新たな知見として、この学習モデルは数ヶ月の時間を経ても有効である(照明光のちらつきの特徴に経時変化が見られない)という事実も得られた。また実験では照明光の計測のためのスマートフォンに外付けするセンサを新たに開発したが、提案手法の周波数大域の性質上、スマートフォン側のA/D変換器を流用する回路としたため、極めて低コストで実現できた。 以上の研究成果はIEEEの国際会議での発表論文1本と学会誌(計測自動制御学会論文誌)の論文1本の形で対外的な発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は基本原理の確立を目標としていたが、十分な実験を行うことができ、さらに当初は今年度の段階では難しいと考えていた学会誌での論文発表まで行うことができたため。 また、実験結果も想像以上に良好で、高い性能が示せたことも理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在2つの方向性を検討している。一つは当初の計画のとおり本手法の大域化である。現在は照明光をクラス分類するため、限られた範囲(識別対象の照明光の数がそれほど多くない範囲)では良好な性能を示すことができるが、これを同じ方法で拡張してもすぐに限界に近づくと考えられる。そのため、データベースをバックエンドとするようなシステムに拡張することを検討している。 もう一つは、今年度の研究を進めている間に着想を得た、位置推定精度の向上の方向である。現在の手法は基本的に照明光の配置と同程度の分解能を得ることを目的としている。それでも他の屋内位置推定方に比べると十分高精度と言えるが、これをさらに高めることができればAGVをはじめとした産業分野への応用も視野に入れることができる。 現在の研究の進捗状況に鑑みて、後者を進めることが効率的と考えている。
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Causes of Carryover |
学会発表のために計画していた旅費があったが、国内外の会議がCOVID-19の影響ですべてオンラインになってしまったため、旅費が0になった。一方で学会誌への投稿論文が採択されたため、論文掲載費としてその他の種目の金額が増額した。物品費についてはほぼ予定通り執行した。 その結果、総額で10%強の差額が生じた。 差額は大学院生が新たに一名本研究課題に関わることになったので、そのための機械学習向けの計算機の部品(消耗品)として使う予定である。
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Research Products
(2 results)