2020 Fiscal Year Research-status Report
生理的個人差に着目した人種間の色覚の多様性とその機序の解明
Project/Area Number |
20K12017
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山内 泰樹 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60550994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 色覚の個人差 / 心理物理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である令和2年度は,実験装置を含めた環境整備,並びに実験方法の決定並びにプログラムの作成,及び海外での実験に向けた調整およびタイ国での実験装置の構築を当初計画していた. 諸外国での実験を想定している研究であるので,実験装置として大型・複雑なものを運搬することは現実的ではないので,簡便に特徴的なデータを収集できる代表的な値を見つけるために,ポータブルなLED交替刺激呈示装置を試作した.これは交替呈示される2色のLED光の時間周波数を可変にしたものであり,明るさ知覚及び等輝度点を求めることが可能であり,LEDを交換することで複数色(波長)の測定も可能になるものである.大学での火災による実験室への立ち入り禁止,非常事態宣言に伴う在宅勤務等により,実験装置の試作を完了するには至らなかった.このポータブル装置と本学で構築済みの色覚測定装置との相関特性も上述した理由により完了することはできなかった. 個人の色覚特性を測定する一つのパラメータとして,明るさ効率に注目して,実験を行った.明るさ効率には個人差があることが知られており,色度図中の25点ほどで明るさ効率の測定を行った上で,等色関数との相関性を比較した.それぞれの波長領域で相関がみられ,今後さらに検討を加えていく価値があることが見出された.その他の心理物理実験に関しては,特にカラーネーミングについては,初期検討にとどまってしまった. 海外での実験準備一般に関しては,コロナ感染からの渡航禁止(自粛)により,全くハードウェアや人的交流を行うことは叶わなかった.メールベースでのやり取りで,こちらの実施項目や実施方針についての共有はできているので,ハードウェアの構築や移設も含め,研究協力者とコロナ感染状況が続く中での進捗に向けた方針をしっかり立てることが必須である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポータブル刺激呈示装置は,試作結果を最終的に評価することができていないが,基本的な動作確認は終了しているので,校正を行った上でデータの収集を行った上で,他の実験装置における測定結果と比較を行い,両者の実験結果を定量的に比較するための補正作業が必要である.また,LEDを交換可能にしているが,LEDの主波長に関する検討が終了していない.最小限の実験規模でのデータ収集を行いたいので,その検討も本年度の実施項目となっている. 異文化間での色覚特性の違いとして,心理物理実験の準備が,コロナウィルスの影響から遅れている. 海外での実験についても,実際に渡航できなかったため,装置の構築等の実作業が,ほとんど進んでいないのが現状である.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の本年度は,実験装置の整備を進めるとともに,心理物理実験に関する準備を進めていく.特にコロナウィルスの感染状況で,実験室における作業がどれだけ実施できるかがわからないため,プログラミング開発環境をポータブル化することも検討する. 海外でのデータ収集については,生理的データを収集した被験者に対して心理物理実験を行い,両者の相関をとりつつ国際的な比較を実施する予定であったが,生理的データの収集が難しくなっているので,プログラムを協力研究者に送り,心理物理実験を先行して実施できるような準備を行うとともに,データの共有方法をどのようにするかの検討も実施していく.
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Causes of Carryover |
海外出張,国内学会参加等を予定していたが,コロナウィルスによる活動制限,渡航制限により当初予算よりも支出が少なくなってしまった.次年度に海外渡航が許可されれば,海外出張の滞在をできるだけ長くすることにより,当初計画を挽回できるよう実験時間を多めに取る予定である.海外渡航禁止が延びるようであれば,実験装置の追加制作,および汎用プログラムの作成等を行い,現地協力研究者に実験の遂行を依頼する予定である. 本年度は,昨年度の実験結果等の学会での発表等も予定しており,学会での発表に際しての参加費,および被験者実験の謝金として研究費を使用する計画である.
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Research Products
(1 results)