2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of the color appearance mode on the color category analyzed by chromatic components
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20K12019
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
徳永 留美 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (80573914)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 色カテゴリ / エレメンタリーカラーネーミング / カテゴリカルカラーネーミング |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語において57名の日本人学生が330色の色票に対して色カテゴリの実験を実施したところ、色カテゴリの一致度に差がみられた。このことは一致度の低い色票群は、日本人が共通認識の言葉で表現していない色領域であることを示している。そこで本研究では、色カテゴリと色知覚の構成要素を心理物理学的手法により測定し、色カテゴリの一致度の違いと色知覚の構成要素についての定量的な分析を試みることを目的としている。 本研究は、物体表面の見えについての研究であることから、実際の色票をテスト刺激とする。そのためには、実験を実施する環境構築が必要となる。今年度は、まず、実験装置を暗室内に作成し実験環境を整備した。そして試行実験として、先行研究同様の色票330色群に対してカテゴリカルカラーネーミングを実施した。コロナウイルス感染拡大の影響を受け、実験の実施環境、実験装置への滞在時間などが十分に取れなかったことから、試行実験とした。被験者8名の結果、先行研究同様に基本11式名に加えて「水色」と「黄土色」の色名が多く使用されていた。そこで二つ目の試行実験として、同じ被験者に対して、「水色」と「黄土色」の領域の色票80色に対してエレメンタリーカラーネーミングを実施した。二つのカラーネーミングにより、色名が変化する際の色の構成要素の変化について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は装置の設置と、試行実験を実施することができ、色カテゴリが変化する際の色構成要素の変化の分析の仕方について検討可能な状態を作ることができた。8名の被験者によるカテゴリカルカラーネーミングの結果から、例えば水色の色名は、先行研究の場合は明度がN6からN9、色相が7.5Gから5PBに存在していたのに対して、本実験では明度N5からN9、色相が5BGから5PBに存在しており、本研究結果の「水色」のカラーカテゴリーの範囲の明度の幅が広く、色相の幅は狭い結果となった。比較人数の違いがあることから、データ取得人数についての統計学的検討が必要だと考えられる。そして、被験者内のカテゴリカルカラーネーミングとエレメンタリーカラーネーミングの結果から、青色から水色への変化は、色構成要素である青と白の知覚的変化みられ、また、黄土色への変化では赤緑黄青という色みの知覚的変化がみられ、色名が変化する際の色構成要素についての検討が可能であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は被験者と実験者との距離や、実験室への滞在時間などの制限があり、取得する色票数を少なくしてしまったため、今後は色票の数を増やしてデータを取得していく予定である。同じ被験者で同じ時期にカテゴリカルカラーネーミングとエレメンタリーカラーネーミングを実施し結果を比較できるように実験を工夫して実施する。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた学会参加等への旅費執行がなかったこと、被験者の人数の減少により謝金の金額が少なかった為、次年度使用分が生じた。来年度に被験者の謝金として利用する予定である。
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