2020 Fiscal Year Research-status Report
Conceptual design for mathematically modeling affective decision-making processes
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20K12033
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
庄司 裕子 中央大学, 理工学部, 教授 (30286174)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 意思決定 / 感性モデル / 決定木 |
Outline of Annual Research Achievements |
膨大な情報がある中で迅速な意思決定が求められる現代社会では、意思決定の効果的な支援手法が求められている。意思決定に関する従来研究では、意思決定の主体は明確な目標や判断基準を持っており、その目標や判断基準に従って合理的な意思決定がなされることを前提としてきた。しかしながら実際の意思決定では、状況や文脈によって判断基準が動的に変化することも多く、人は自らの感性に基づいて意思決定することが求められる。申請者は、意思決定プロセスの感性的な側面に着目し、そのモデル化手法を提案してきた。本研究では、感性的な意思決定プロセスの構造をモデル化した上でさらに、数理的なモデル化に向けた指標を抽出して定量的に評価する。具体的には、決定木を用いて感性的な意思決定プロセスを表現し、意思決定者の感性を反映した色々な決定木の構造を比較することで、構造の違いを生む要素を抽出し定量的に評価する。 本年度は研究の初年度にあたり、主として感性的な意思決定プロセスの事例収集作業に取り組んだ。衣服や装飾品などのファッション商品を対象とし、多数ある選択候補の中からいくつかの判断基準に基づいて候補を絞っていき最終的に一つを選択するような意思決定の事例を収集してきた。このような意思決定はオンラインショッピングなど通常の意思決定でもよく見られる現象であり、設定としては妥当であると考えられる。同じ商品を複数回選んでもらい、状況による変化についても事例収集中である。 現在も事例収集を継続しながら、定性的な分析を通して、どのような意思決定がおこなわれるのか、複数回の意思決定で一人の意思決定にはどの程度ばらつきが出るのかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の拡大により、この1年間は対面での打合せや実験をおこなうことが困難な状況が続いた。そのため、意思決定の事例収集もオンラインでおこなえるように工夫して研究を進めることにした。当初は対面で計画していたオンラインで事例収集をおこなうために、作業計画を再検討し、オンラインでの環境を構築するなどに時間を要した。したがって、当初予定していたより事例収集作業に遅延は生じている。 また、研究推進のための情報収集や関連研究者との打合せ、研究発表などの予定も、コロナ禍で見直しを迫られることになり、スケジューリングを含め研究管理業務の負荷が上がっていることも、進捗の遅れの一因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では以下の2点を研究目的とする。(1)感性的な意思決定プロセスの事例を収集し、決定木を用いてモデル化する。(2)色々な決定木の構造を比較し、構造の違いを生む要素を抽出し定量的に評価する。 上述のとおり、現在コロナ禍により事例収集作業について若干進捗に遅れが出ている。新型コロナウィルス感染症の影響は今後もまだ続くと考えられる。すでに、事例収集を含む研究の大半の作業をオンラインでおこなえるように工夫をしてきたため、今後は引き続き事例収集と分析の作業に取り組み、2021年中には遅れを回復できると考える。 この後、収集した意思決定プロセス事例について、判断基準に基づく選択の順序を決定木のパスと考えて、意思決定プロセスを決定木として表現するという設定を試みる。決定木は、その商品に対する個々人の感性の違いを反映していると推定される。そこで本研究では次に、得られた決定木によって、人によって異なる感性の違いを視覚的に把握する。そして、様々な決定木のノード数、葉の数、分岐の多寡、階層の深さなどを比較検討し、決定木の構造の違いを生む特徴量を抽出して定量的に評価する。また、構造の違いを生む人間側の要素は何かを抽出する。これにより、感性的な意思決定においてどのような要素が判断基準の変化に影響を与えるのか、定量的な評価をおこなうことが可能となる。 特徴量抽出までの作業を2021年度中におこない、最終的な評価や成果取りまとめを最終年度におこなう予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大により、対面での研究打合せ、事例収集、実験などが全く実施できない状況となり、オンラインで実施できる体制へ移行しながら研究を進めることとなった。また、成果発表や情報収集のための学会参加・出張も中止となったため、研究費を支出するような事項がなくなってしまった。 このため、オンラインでの事例収集や実験への協力者を集めやすくするよう謝金を出したり、オンラインやハイブリッドでの研究体制を強化するための計画を練っているところである。
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Research Products
(4 results)