2020 Fiscal Year Research-status Report
感情推定に向けた複数センサによる呼吸データベース構築と呼吸による感情推定
Project/Area Number |
20K12047
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 幸宏 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (10361742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 宏次 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (00224676)
河中 治樹 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90423847)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情推定 / 生体信号処理 / 生体信号データベース / ARS / 信号解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は感情推定というキーワードに焦点を当て,これまであまり注目されてこなかった呼吸データから感情推定を行うことを目指し,様々な状況下の呼吸のデータベースを作成して公開することを目的とする。また同時に,呼吸から人の心の状態推定を行うための分類に必要な呼吸の特徴量の解明を目指す。 呼吸データによる感情推定が実現できると,ドップラーセンサを用いて非接触推定が可能となる。これにより体の表面にセンサや電極をつける必要がないので実用面で応用先が大きく広がり,意義が大きい。たとえば老人介護施設において,感情推定を行えれば日々の生活のクオリティを数値化できる可能性があり意義深い。一方で,施設入所者にずっと,腕時計型のウェアラブルセンサを装着しておくことは現実問題として困難であるし,逆に,その不快感や拘束感から生活の質を下げてしまうことにもなりかねない。こうした際,非接触センサが有効となる。 上記のようなゴールを目指し,2020年度に予備実験を実施した。これにより計測システムの有効性を確認するとともに,得られたデータの解析を行った。様々な状況における感情推定の一つとして,音楽を聴いているときの生体データを取得し解析した。ここで,呼吸に現れる明確な特徴量の変化を明らかにし,国際会議に投稿している。また同時に,呼吸のような時変信号の解析により適した方法となるよう,研究代表者が従来提案してきた手法ARSに新しい工夫を加え,現在,発表準備中の段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は以下の通りである。まず,本課題は呼吸などの生体信号を取得するため,倫理審査が必要となる。このため,愛知県立大学研究倫理審査委員会に申請書を提出し倫理審査を受け,承認された。これにより実験を行うことが可能となった。 次に,実験システムの構築と動作確認を行いながら,基本的な実験を数種類行った。これらの実験の成果は国内の電気学会研究会に発表するとともに,現在,国際会議への投稿を行っている。 これらの実験データの解析を進める中で,研究代表者が提案してきた信号解析法Accumulation for real-time serial-to-parallel converter (ARS)法に工夫を加え,生体信号のような時変信号,すなわち時間とともに変化する信号の解析に適したものとすることを着想した。従来,時変信号の解析には短時間フーリエ変換(Short-time Fourier Transform, STFT)やウェーブレット変換(Wavelet transform, WT)が使われてきた。しかし,これら従来の方法は,低い周波数において周波数解像度が低いという問題があった。また,STFTにおいては周波数解像度を上げようとすれば時間解像度が下がってしまう。これに対し,今回,新しく着想した方法では時間解像度を高く保ったまま,低い周波数においてSTFTやWTの解像度を超えることができる。ただし,高い周波数ではSTFTおよびWTのほうが周波数解像度は高い。 今後,こうした信号処理の手法の面での成果を学会発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として第1に,感情推定のための生体信号データベース作成のためのデータの取得を進める。また,そのために必要となる感情推定の様々な状況に対する設定を明らかにする必要があり,そうした検討を並行して進めていく。 一方,ここまでの研究で着想した新しい信号処理方式と,付随する細かなアイデアについて,その性能の検証および特徴の明確化に関する検討を進め,学会発表等を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により学会がオンライン開催となり,旅費が不要となったため
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Research Products
(18 results)