2022 Fiscal Year Research-status Report
感情推定に向けた複数センサによる呼吸データベース構築と呼吸による感情推定
Project/Area Number |
20K12047
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 幸宏 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (10361742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 宏次 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (00224676)
河中 治樹 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90423847)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感情推定 / 生体信号処理 / 生体信号データベース / ARS / 信号解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本研究のデータ解析を行うための信号処理手法の高度化を進めた一方,コロナウィルスに伴いデータ取得実験の遂行を差し控えた。 データ解析手法の高度化の部分では,研究代表者が提案する新しい解析手法ARSを時変信号に適用した際に生じる問題の解明および解決を行った。ARSは特に低い周波数帯において,従来広く用いられている離散フーリエ変換(DFT)等より高い周波数解像度を達成でき,また計算量を低く抑えられる利点がある。呼吸や心拍といった生体信号は一般に1 Hz前後と非常に低い周波数帯にあるためARSの適用により高い周波数解像度を達成できることが期待される。 一方,生体信号は時間とともに常に変動しているため,その時変信号への適用が重要となる。これには,DFTを短時間フーリエ変換(STFT)として時変信号に適用するのと同様の方法をARSに適用することで実現できる。この方法をARSに適用した結果,ARSが周波数解像度だけでなく時間解像度においても,STFTに比較してARSが優位であることをすでに明らかにしている。しかし,時変信号に適用した際に周波数軸上において原因不明の不連続な変化が現れることが問題として気づかれており,これへの対策が必要となっていた。 当該年度はまず,この問題が発生するメカニズムを明らかにしたあと,有効な対策を明らかにした。これにより周波数軸上の不連続性を軽減でき,かつ,そのための付加的な処理の影響は極めて小さいことも明らかとなった。 こうした展開の一方,生体データ取得実験については新型コロナウィルス対策にともない効率的に進めることができなかった。今後,データ取得とその分析に注力する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように,生体信号解析に適した手法の検討は大きく進んだ一方,新型コロナウィルス対策のもと,生体データ取得を効率的に進めることができなかった。 その一方で,機材の調達および信号解析の問題の洗い出し,およびその対策といった部分では大きく計画を実現することができた。こうしたことから,生体データ取得を進められなかった時間を有効に活用できたと言える。また今後取得しデータをより正確に解析できる可能性が高まった面があり,全体として今後の解析を効率的に行える可能性が高い。以上のことを総合的に考えると,研究プロジェクトの遅延はあるものの,これから効率的に研究を遂行できる可能性を高めていることから「やや遅れている」という状況であるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,推進すべき研究の段階として生体データ取得が主である。ここで特に注目しているのは非接触センサで取得する呼吸のデータである。非接触センサとしてドップラーセンサを採用することで被験者の体にセンサを取り付けることなく呼吸を測定できるため,自然な呼吸データを取得できる。こうした生体データ取得のためのドップラーセンサはすでに市販されており,すでに多くの生体信号取得システムや研究プロジェクトにおいて使われている。その一方で,従来行われている信号解析のほとんどが離散フーリエ変換(DFT)によるものであって,データ解析の段階で新しい手法はない。 本研究課題では,生体データなど低周波数信号の解析に適した新しい手法ARSを用いて呼吸データに潜む新しい情報の抽出に挑む。そのための生体データ取得が新型コロナウィルス対策も相まってあまり実施できなかった現状を考え,今後は生体データ取得に注力する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度にデータ取得実験を十分に遂行できなかったため。実験実施にともなう消耗品購入などに使用する。
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