2021 Fiscal Year Research-status Report
術前術後DICOMでの3次元特徴点マッピングによるブレインシフトモデリング
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20K12053
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
渡邊 郁 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (50298832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 哲史 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (20411481)
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
上善 恒雄 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 教授 (70388396)
埜中 正博 関西医科大学, 医学部, 教授 (90577462)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブレインシフト / SLAM / 脳モデリング / 手術ナビゲータ / DICOM特徴点 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪府は2021年度、COVID-19の影響が強く、関西医科大学枚方病院や大阪電気通信大学への立ち入りが断続的に禁止された。これより、患者の医用データや手術室のデータをとることができなかった。一方、DXの技術や経験は格段に進歩し、研究打ち合わせは進展した。この結果、仮想世界で進められる研究に絞って進めることにした。具体的には、Unityの領域分割アセットを利用して、過去に取得していた術前術後の患者DICOMを領域分割し、それを3D Slicer(https://www.slicer.org/)による領域分割の結果と精度比較した。その過程で、その手続きの簡便性や領域分割の結果の妥当性を医師(研究分担者)に遠隔で評価してもらった。その結果、領域分割の精度向上およびそのルーチン業務化の検討が進んだ。 次に、術前術後の2つのDICOMの位置・姿勢・スケール合わせについては、研究分担者の機械学習に基づくソフトウエアを利用して、ホワイトマターやブラックマター、および頭蓋骨などの不変領域を手掛かりとして、高精度で実施できた。さらに、患者のDICOMを人工的に変形させて人工ブレインシフトを生成し、その答えとなるブレインシフトを6種類のSLAM特徴点抽出ソフトウエア(SIFT, SURF, KAZE, AKAZE, ORB, BRISK)で検出精度を比較検討し、現在のところSLAM特徴点抽出ソフトウエアBRISKとAKAZEが高精度でブレインシフトを検出した。今年は、2020年度以前にもたらされた複数患者のDICOMに対して、SLAM特徴点抽出ソフトウエアに内在するパラメータを変えて、前述の結論が一般的かどうかを確認する。そして、有効なSLAM特徴点抽出ソフトウエアにより、位置・姿勢・スケール合わせが終了した術前術後の2つのDICOMから、目に見えないブレインシフトを検出する。そして、その結果をブレインシフトのモデル化につなげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、関西医科大学や大阪電気通信大学への立ち入りが断続的に制限された。まず、「同一患者のCTとMRIのDICOMを領域分割する」については、Unityの領域分割アセットを利用・改善した。そして、術前術後の患者DICOMの領域分割結果を医師に評価・検討してもらい、領域分割の精度向上に当たっている。次に、「CTやMRIの明瞭領域データを教師としてCTやMRIのDICOMを強化学習し、正確に領域分割(濃淡値の正規化・明瞭化)する」については、医療崩壊・逼迫の影響で有効な患者データが全く入手できていないので、ほとんど進展しなかった。実際、CTやMRIのパラメータ調整、および造影剤の量や質の検討を細密に実施しなくてはならず、COVID-19下の医師や臨床検査技師の作業負担を考えたとき困難な状況に置かれている。「また、3D Slicerで手術前後の領域分割したDICOMの大きさ・位置姿勢を合わせる」については、機械学習に基づくマッチングソフトウエアより、術前術後の患者DICOMの位置・姿勢・スケール合わせは完了している。 「手術前後の膨大な3D特徴点対応を抽出する」については、患者のDICOMを人工的に変形させて人工ブレインシフトを生成し、その答えとなるブレインシフトを6種類のSLAM特徴点抽出ソフトウエアで検出精度を比較検討し、BRISKとAKAZEが高精度でブレインシフトを検出できた。そこで今年は、2020年度以前にもたらされた複数患者のDICOMに対して、前述の結論が一般的かどうかを確認し、位置・姿勢・スケール合わせが終了した術前術後の2つのDICOMから、目に見えないブレインシフトを検出する。「3D特徴点対応を利用してDICOMボクセルの物理パラメータを同定し、脳の変形モデリングを作成する」は、今年度Unityのアセットを改善した試作版は完成した。今後は、検出されたブレインシフトをそのモデルにつなげる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度から始まったCOVID-19による制約は、大阪府では2021年度も大きな変化はなく進行し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がほぼ発令されていた。そのため、研究者や学生の関西医科大学枚方病院の手術室や大阪電気通信大学の研究室・実験室への立ち入りは、引き続き禁止されたり制限されたりしてきた。このため、2022年4月現在もDXの経験や技術を利用して、主にリモートで研究を進展させている。 具体的には、機械学習に基づくソフトウエアを利用して、ホワイトマターやブラックマター、および頭蓋骨などの不変領域を手掛かりに、術前術後の2つのDICOMの位置・姿勢・スケール合わせを高精度で実施した。また、患者のDICOMを人工的に変形させて人工ブレインシフトを生成し、その答えであるブレインシフトを6種類のSLAM特徴点抽出ソフトウエア(SIFT, SURF, KAZE, AKAZE, ORB, BRISK)で検出したところ、SLAM特徴点抽出ソフトウエアBRISKとAKAZEが高精度でブレインシフトを検出できることがわかった。 以上のことから今年度は、2020年度以前にもたらされた複数患者のDICOMに対して、SLAM特徴点抽出ソフトウエアに内在するパラメータを変えて、前述の結論が一般的かどうかを確認する。そして、有効なSLAM特徴点抽出ソフトウエアより、位置・姿勢・スケール合わせが終了した術前術後の2つのDICOMから、目に見えないブレインシフトを自動的に検出する。そして、このブレインシフトモデルをUnityのアセットを追加プログラムで精度改善して作り込み、医師(研究分担者)にその精度を評価してもらう予定である。
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Causes of Carryover |
新型ウイルス感染症の影響により、現在、医用データ収集、手術室実験、研究出張の3点が大きく制限されている。この状況は今後も継続すると思われるが、2020年度以前にもたらされた複数患者の術前術後DICOMの位置・姿勢・スケール合わせ、自動ブレインシフト抽出アルゴリズムの構築、およびブレインシフトのモデリングに関するアルゴリズム(ソフトウエア)やシステムの開発、およびそれらの成果の論文発表等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)