2021 Fiscal Year Research-status Report
苦味受容体におけるAI・シミュレーション・進化解析の融合解析フレームワークの構築
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20K12063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 浩明 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40613328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工知能 / シミュレーション / 進化 / 苦味 / ディープラーニング / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
データに乏しい状況において、AIとシミュレーションを組み合わせることでデータを生成しながらAIモデルを構築する取り組みが広く行われている。苦味受容体でも、オーファン受容体が多いことからも既知リガンド情報が少ない。本研究ではAIとシミュレーション解析にヒト以外の生物種のデータも使用し、生物種間比較により進化的な情報を加えた解析手法を開発する。具体的には、様々な生物種の苦味関連データを用いた進化解析を行い、その結果を取り込んだAIモデルを構築する。AIモデルによる予測に加え、シミュレーション解析で新たな苦味分子を探索する。さらに、得られた結果から苦味受容体の進化過程やメカニズムを解析することも可能となる。 2021年度は化合物とタンパク質の相互作用を予測するAIモデルの構築を実施した。化合物情報とタンパク質のアミノ酸配列を入力にして、それらが相互作用するかを予測するAIモデルである。2種類のAIモデルを構築した。1つ目は、BitterDBなどから収集した苦味分子と苦味受容体の相互作用情報を学習した、苦味受容体に相互作用する苦味分子を予測するモデルである。2つ目はChEMBLから取得した化合物とタンパク質情報を学習し、苦味分子がほか他の受容体に相互作用しないかを予測するモデルである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物とタンパク質の相互作用を予測するAIモデルの構築を実施した。化合物情報とタンパク質のアミノ酸配列を入力にして、それらが相互作用するかを予測するAIモデルである。新たな苦味分子を探索するためのモデルと新たなターゲットを探索するためモデルである。苦味分子が他の受容体に結合することで様々な薬理活性を示すことが知られているため、これらのAIモデルを用いた解析によって苦味分子のメカニズム解明にもつながると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はシミュレーションを用いた解析を実施する。受容体構造に関しては、AlphaFold2の登場により精度の良い立体構造も入手することができるようになり、ドッキングシミュレーションやMDシミュレーションの実施が可能となった。また、AIモデルを用いた解析では、2021年度に構築した2種類のAIモデルによって、新たな苦味分子の探索や苦味分子の体内でのメカニズム解析のために網羅的に相互作用する受容体の探索を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で学会等の現地開催がされず、旅費等の支出がなかった。また、公共のスーパーコンピュータを利用することができたため、新たな計算用ワークステーションの購入が必要でなかった。
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