2022 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションによるがんのクローン進化・腫瘍内多様性の解明と予測への挑戦
Project/Area Number |
20K12071
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
加藤 護 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40391916)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん細胞進化 / 計算機シミュレーション / 個別化医療 / がんゲノム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロジステック回帰、決定係数・相対誤差を用いたモデルの評価法を実装し、前年度実装したCNA を取り入れたモデルの効果を見るために選出されたTCGA 大腸がん患者1症例および別のデータセットの1症例に対しシミュレーションを実行し、近似ベイズ計算を実行して、各症例のweight parameter の事後分布を得た。そして事後分布のMAP 推定値の下、実装したモデル評価法に基づいてモデルを評価し、その妥当性を検討した。その結果改善すべき点が見つかり、以下の改善を行った。
1)Weight parameter に対する分布を一様分布からディリクレ分布へと改良し、それを実行するアルゴリズムを実装した。2)より正確な再現のため、事後分布のMAP 推定値だけでなく、a. 事後分布自体と、b. ABC で選出された多次元点も使用することとした。3)計算を節約するための高速化アルゴリズムを開発した。4)ホールマークの方程式を極めてシンプルな形で再定式化することに成功した。5)その結果、ポアソン・サンプリングが導入可能となり、それよってアルゴリズムの簡素化および拡張容易性に成功した。6)さらにその結果として、従来版では曖昧であった時間を、シミュレーション時間と実時間とで明確に分離することが出来た。外挿によって、シミュレーション時間と実時間を対応付けられる。7)Drug intervention trial を実装し、各症例に仮想的介入シミュレーション、すなわち、遺伝子の異常を仮想的にブロックしたときの動態をシミュレートした。一遺伝子ブロックだけでなく、併用療法、つまり、2遺伝子同時ブロックも行った。今後は多数症例に適用してさらなるプログラムの改良を行い、臨床応用へと進む予定である。
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