2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12072
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上野 豊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60356558)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タンパク質立体構造 / 分子構造可視化技術 / 分子アニメーション / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質等の生体高分子の機能を理解する立体構造モデルのアニメーション構築を支援する技術開発を進めている。昨年度開発したDNA分子の粗視化した動作によるアニメーション手法をタンパク質に適用する計算機プログラムの開発を行った。アミノ酸残基ごと粗視化した動作は骨格アニメーション記述ファイルであるBVH形式に保存することで様々な3DCGソフトウェアで利用できる利点がある。具体的なタンパク質の動作として、研究計画立案時に想定していた酵素酵素触媒機構データベースの他にアニメーション表示が有効なデータを調査した結果、名古屋大学より発表されているリガンド結合に伴うタンパク質立体構造変化のデータベース(PSCDB)のデータ表示が有用であることが判明した。登録数の豊富なタンパク質結晶構造データベース(PDB)に基づいて数百件のタンパク質構造変化をカテゴリ分類されwebブラウザ上でアニメーションが表示されている。この立体構造データを本課題で開発した骨格アニメーション記述ファイルに変換し、Blender等の3DCBソフトウェアで扱えるようにした。これによって、3DCGとして高品質なアニメーション作成が可能となっただけでなく、構築した後の様々なモデルの修正を可能とした。研究の展開に従って構造変化の仮設を検証し構造生物学的な議論を支援できると考えている。開発したプログラムを利用することで、数百種のタンパク質構造変化のアニメーションを生成させることが可能になった。また本課題に強く関連する分子アニメーション技術に関する論文を生物物理学会誌に投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までにBVHファイルによる骨格アニメーション記述手法を開発していたが、実際には様々な修正が必要であったため、作業は遅れている。アニメーション作成例としてBDB-Elasticのデータを利用してweb公開まで行う作業が遅れているが、役務作業を外部依頼して数か月で実施可能と考えられるため、実施を再び延期した。これは今年度明らかになったBVHファイル利用上の問題に対処することで正しく作成されることが期待され、延期することが最適と判断した。また、問題点の解決においては、様々な研究者とプログラム作成業者との議論を通じてスピーディーに対応していくのが開発実施の通例であった中で、昨今の感染症対策に従い対面での技術相談を控えたことも遅れの要因であったが、挽回できると考えている。分子アニメーション技術に関する論文発表を生物物理学会誌に投稿し受理された。その内容は2020年に終了したNEDO共同研究において実施した人工筋肉の動作のアニメーション開発についての報告であるが、その後の執筆にあたっては本課題における研究成果も含まれており、他に外部研究資金は得ていないため、分子アニメーション技術を継続して開発する本課題の成果として記載した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に計画していたEzCatDBに登録されている構造変化モデルを骨格アニメーションで表示する手法開発を完成させる。昨年度までに開発した骨格アニメーション手法を利用すればアミノ酸側鎖の構造情報を取り入れることでスムーズな対応が可能となった。EzCatDBより取得した酵素反応における複数の状態に対応する原子構造のPDBデータについて、滑らかに補完するmorphing処理を行った複数配座のPDBデータをUCSF Chimeraプログラムを利用して準備する。そのデータから本手法で骨格データをBVHファイルで作成する。酵素の3DCGモデルデータはUSCF Chimeraで作成してBlenderでimportする。そして作成したBVHファイルを関連づけることでアニメーションを実現する。ここで、原子モデルを表す球や円柱とBVHの骨格を距離情報に基づき直接関連づける手法を採用する。
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Causes of Carryover |
昨年度および今年度にはプログラム作成の作業を外部業者に依頼する計画であったが、昨年度に判明したBVHファイルの角度計算方法の問題点の解決のために作業の発注を延期していた。今年度に作業内容の使用策定中に計画になかったPSCDBデータベースに対応することとしたため、利用されているファイルに対応したプログラムの仕様確定が今年度末になった。2022年度には問題なく役務作業を依頼する計画であり、数ヶ月で実施可能な予算となっている。
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Research Products
(1 results)