2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Integrated Development Environment with Teaching Support for Programming Learning
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20K12097
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大川内 隆朗 日本大学, 文理学部, 助教 (70548370)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / システム開発 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大学におけるプログラミング授業を対象とし、教員から学生への指導をICT技術により支援するシステムの開発を目的とする。現在のプログラミング授業のほとんどでは、一教室の中にいる多数の学生のコーディングの様子を教員が把握することは容易ではない。さらには課題作成等で、授業時間外での学生のコーディング活動の様子を窺い知ることは不可能といえる。 昨年度までの成果として、学生がプログラミングを行っている過程についてキーボードの入力ごとに記録し、「コンパイルを試みたタイミング」、「特定のキーワードを入力したタイミング」など特徴的なタイミングを中心にダイジェスト再生するシステムのプロトタイプを作成した。 2021年度は、教員が学生のコーディングのダイジェスト再生を閲覧しながら、フィードバックを行う機能の実装を行った。始めはダイジェスト動画中に文字列によるコメントのみを残す機能を想定していたが、各コメントとともに「変数名が不適切」、「繰り返し処理の間違い」などの教員が自由に作成したタグ付けを行うことができるようなシステムの実装を目指した。理由としては、タグ付けできるということは間違いの種類を分類できるということであり、それにより次の二つのメリットが生まれる。まず学修者にとっては、自分が同じ間違いを何度も繰り返さないように、気を付けるポイントの目安がつけやすくなる。また教員にとっては、学生全体を見てどのタグがいくつくらい含まれているのか、といった形で自身の授業の振り返りや反省を行うことが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度中にシステムの開発を終えることを目標としていたが、関連研究などの動向を調査し、当初の予定よりもプラスアルファの機能を実装する必要性を感じている。しかしながら、新しい機能の実装について完全に仕様が固まっておらず、現在も試行錯誤しながらの調整中である。2022年度の前半でシステム開発を完了させ、同年度後半にシステムの使用実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の前半はシステムの完成を目指す。プログラミング教育において、学修者が躓いたり間違えたりするポイントについては、ある程度共通していると考えられる。その一方で、各学修者固有の躓きがあることも予想される。したがって教員がコメントを残す際には、「負荷の軽減」と「学生個人に特化したより細やかな指導」を両立させるために、スタンプのように定番の指摘を容易に行うことのできる仕組みとともに、個別にテキストを入力できる機能が求められる。 もう一つシステムで支援したいポイントとして、レポート・ライティングではわからないなりに文章を作ることができるが、プログラミングにおいては構文があるため、初心者はやりたいことが漠然とあっても、全く手を動かすことができないケースも多い。学修者が本当に支援を求めているタイミングは、コーディング後の振り返りよりもコーディング中であることも多い。したがって、事後の指導と並行して、教員がいない中でも学修者が躓いたタイミングで何らかの支援を行う機能があると非常に有効と考える。8月頃までにそのような機能が実現できないか検討していく予定である。 いずれの場合も、8月末までに可能な範囲でシステムを完成させ、2022年後学期のプログラミングの授業において、本研究における開発システムを使用する予定である。そして昨年までの指導法と比較して、より詳細に振り返ることができたかどうか、過去の学生の作成課題やアンケート調査の結果などと照らし合わせて評価を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、学会参加などの研究活動が一部制限された。またシステム開発についても、論文として十分な新規性を持たせることを目的に、機能の追加を試みている最中である。以上の2つの理由により、2021年度中にシステムを完成させ学会発表を目指す予定であったが、2022年度の前半での発表へと遅らせる判断を取った。したがって、2021年度に教育工学系の研究会で発表する際に利用する予定であった旅費については、2022年度に研究代表者が所属する学会の研究会(9~10月に開催)で執行することを計画している。
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