2020 Fiscal Year Research-status Report
可変する線状の物体をもちいたキネティック・タイポグラフィの研究
Project/Area Number |
20K12125
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
勝本 雄一朗 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (00830994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報デザイン / メディア・アート / キネティック・タイポグラフィ / モーション・グラフィクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は基礎構築に充てた。 1. 文献調査。東京タイプディレクターズクラブ(Tokyo TDC)が刊行する年鑑(直近6年++)を中心に、国内外のキネティック・タイポグラフィ事例を収集・整理した。この調査により、物体によって文字を動的に表示する先行事例はビットマップディスプレイやペンプロッタをメタファとしている点、線によって文字を表示する先行事例はスタティックメディア(彫刻、彫金など)やスクリーンメディア(映像、ソフトウェアなど)に限られる点を確認した。同時に、タイポグラフィとフォントデザインに関する知識を文献より習得した。他方、Programmable Matterほか諸研究から、線状の可変機構、線状の物体を変形させる機構について収集・整理した。線状の可変機構の過半数は、機構内蔵のサーボモータを動力源とする。これらは制御が容易な一方で、機構がバルキーであり、文字表示に不適だとを確認した。線状の物体を変形させる事例では、塑性変形を利用するもので、文字表示に好ましい機構を発見した。 2. 先行試作のフィードバック。2019年度より、先行試作としてナイロン紐を変形させることで空間に文字を表示する装置を制作している。この装置を、台湾で開催された芸術祭・印象清華2020で展示した(主催: 國立清華大学、会期: 2020年11月3日から22日)で展示した。この展示のフィードバックから、文字を線で表示するコンセプトが、好奇をもって人々に受容されることが確認できた。一方で視野角が狭い、表示に時間がかかる、語句が表示できない等、先行試作の問題が明確となった。 3. 試作の開始。上記の基礎構築をもとに、可変する線状の物体によって文字を表示する装置の試作を開始した。まずスケッチと模型によって表示可能な文字のデザインを検討した。次に導入した加工機器と試験調達したアクチュエータ類のスタディを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍と生活状況の変化により、当初の計画より約6ヶ月遅延している。理由を時系列順に述べる。 A. コロナ禍の影響によって国内外の物流が滞り、2019年度内に終了すべき研究が、2020年度上半期まで延長したため。 B. コロナ禍の影響によって、2020年4月・5月に研究拠点のキャンパスが閉館したため。また文献調査のあてとしていた図書館、美術館、ギャラリー等が、緊急事態宣言の発出の都度、休館したため。 C. コロナ禍の影響により、遠隔講義の準備等にエフォートを要したため。 D. 子の出生にともない、新生児期と乳児期の育児が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
「進捗状況」の記載内容のうちAからCは解決された。所属の研究推進担当との相談のもと、研究期間の延長を想定したうえで、今後の研究を実施する。2021年度はワーキング・プロトタイプ(ver.1)の完成を目標に試作・試用に取り組む。
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Causes of Carryover |
2021年度に試作を実施するため。またコロナ禍にともない出張機会が無くなったため。
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