2021 Fiscal Year Research-status Report
可変する線状の物体をもちいたキネティック・タイポグラフィの研究
Project/Area Number |
20K12125
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
勝本 雄一朗 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (00830994)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情報デザイン / メディア・アート / キネティック・タイポグラフィ / モーション・グラフィクス / デジタルファブリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、文字を形成するための物体を決定し、物体を用いたタイポグラフィ装置を試作した。 線上の物体には、(マスキング)テープを採用することにした。研究計画段階においては、A. 内部のアクチュエータによって能動的に変形するもの、B. 外部のアクチュエータによって受動的に変形するもの、が想定されていた。しかし前年度に実施した調査、試作、展示から、(1)文字の可読性を高めるためには、線に平坦さが必要である、(2)曲線を表現するためには、複数のアンカーポイントが必要である、(3)漢字を表現するためには、空間に部首等が固定できる必要がある、などの要件が判明した。そこで更なるスタディを進めた結果、マスキングテープの利用が浮上した。 マスキングテープは塗装用途のみならず、公共空間のサインや、日用品やインテリアを装飾するために使用されている。一方で、一般的なマスキングテープは曲線を引くことが難しく、テープの捩れが防げない。特に平仮名のように曲線を多用する文字には適していない。そこで本研究は、短く断裁したマスキングテープを連続的に重ね貼りすることで、近似的に曲線を引く手法を発見した。この発見を機械化し、本研究はマスキングテープで文字を書くための装置をハンドヘルドサイズで試作した。現時点においても、プロトタイプは英数字のみならず、平仮名や漢字といった複雑な文字が描画できている。装置の特許出願にむけて、現在は所属機関とともに準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に報告したとおり、コロナ禍の影響と生活状況の変化(育児の必要)をうけ、研究期間の1年延長を想定している。そのうえで、2020年度と2021年度とを研究1年目と見做せば、先行事例調査、ワーキングプロトタイプの完成、プロトタイプが可能とする表現の模索など、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
実質的な研究2年目である2022年度は、試作した装置をブラッシュアップするとともに、装置を利用したタイポグラフィ表現の探求を行う。また特許出願と並行して、国内外の学会や展示会等にて発表を行う。実質的な研究3年目となる2023年度は、2年目までの研究成果をもとに、キネティック・タイポグラフィの実現に取り組む。具体的には、試作装置の自走化などを予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ禍等の影響により研究期間の延長を想定しているため。
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