2022 Fiscal Year Research-status Report
VRエンタテインメントにおける立体形状入出力インタフェースの表現力向上
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20K12128
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
井上 亮文 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 准教授 (50386778)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲーム体験 / エンターテインメント / 仮想現実感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)仮想世界中の物体の形状と常に同じ形状へと変形するインタフェースの開発、および(2)VR/ARエンタテインメントの体験を加速させるソフトウェア表現、の2つである。令和4年度は、研究実施計画の通り、(1)(2)双方の開発を進めた。 前者(1)については、現実世界の平面型インタフェースの形状と、仮想世界の平面型アイテムの形状の違いが、プレイヤーの一体感に与える影響を調査する研究を開始した。具体的には、様々な形状・大きさを持つ盾型インタフェースを試作し、それを用いて敵の攻撃を防ぐVRコンテンツを開発した。このプロトタイプを用いて被験者実験を実施したが、実験の実施に時間がかかったため、データ解析までは完了しなかった。本研究で有意義な成果が確認できれば、プレイヤーが仮想世界にさらに没入できるVRコンテンツの開発に貢献すると考えており、引き続きデータの解析と成果発表を目指していく。 後者(2)については、前年度に引き続き、現実世界のぬいぐるみ遊びを仮想世界で拡張するソフトウェアの開発を継続した。具体的には、ユーザーが現実世界でぬいぐるみを変形させた際、仮想世界でぬいぐるみのCGが同時に変形するシステムを試作した。本システムの特徴は、現実世界でのぬいぐるみの変形量に対してCGの変更量を増減できる点にある。本システムを用いてCGの変形量を増減させた際の被験者の違和感を調査した結果、変形の係数を徐々に増減する場合、被験者が感じるぬいぐるみの柔らかさを操作できることを明らかにした。本研究の成果は論文誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の1つである(2)ソフトウェア表現に関しては順調に進んでいる。概要にも記載したように、VRを用いたぬいぐるみシステムに関しては開発と実験が順調に進み、これまでに一定の成果を上げることができた。 その一方で、もう1つの目的である(1)ハードウェア(入出力インタフェース)に関しては、やや遅れていると判断している。ハードウェアの開発は進んでいるものの、それを用いた被験者実験に非常に時間がかかっている。また、被験者そのものを集めることにも苦労している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ハードウェアについては、2023年5月を境に新型コロナウイルス感染症が5類に移行することに伴い、実験実施環境が改善すると予想される。本研究の独自性を鑑みると、よりインパクトの高い場所での発表が望ましいため、そのために必要な被験者の確保と追加実験の実施に注力する。 (2)ソフトウェア表現については一定の区切りがついたと考えている。今後は、すでに開発したソフトウェア表現を応用したシステムを複数試作し、その評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症が蔓延したことで、令和2年および3年度に物品費・旅費・謝金の支出ができなかったためである。特に旅費に関しては、その間にあった対外発表がすべてオンラインで実施されたため、支出は実質的に参加費のみ(無料 - 数千円)で済んでしまった。これらはすでに既発表のため、旅費として支出することはできない。 次年度使用額の分は令和5年度の評価実験に参加してくれた被験者への謝礼として使用を計画している。令和5年度分の予算は、当初の予定通り、開発機材、インタフェースの構成部品、国内外の学会で発表する際の旅費、論文掲載料を主として利用する。
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