2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation and modeling flow rate dependence on photosynthetic and calcification rates of hermatypic corals
Project/Area Number |
20K12134
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 隆志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20513641)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 造礁サンゴ / 流速依存性 / 光合成速度 / 石灰化速度 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験室内にて水流循環型の飼育水槽を作成した。そして造礁サンゴに先んじて、海草(リュウキュウスガモ)を用いて、様々な流速条件下や光量下において海草の光合成速度や呼吸速度の測定を行い、それらの有意な流速依存性を明らかにし、その関係をモデル化した。 さらに、この水流循環型の実験水槽を用いて造礁サンゴを飼育し、マイクロマニピュレーターを用いた微小溶存酸素(DO) 電極を精密操作するシステムを開発し、このシステムを用いて様々な流速条件におけるサンゴ表面のDOの鉛直プロファイルを計測し、フィックの法則からサンゴの光合成速度および暗条件での呼吸速度を測定した。また、同時に拡散境界層(Diffusive Boundary Layer; DBL)の層厚を調べた。その際の生物極近傍の乱流構造を観察するために、ナロービームのLED光源を用いたParticle Image Velocimetry (PIV) による流れ場や乱流構造の可視化手法の開発を行った。 本研究でDBLの厚さと平均流速との関係を調べた結果、DBLの厚さは、平均流速の-0.78乗に比例するという結果を得た。Falter et al., (2004; 2007; 2016) は理論および半経験的に、サンゴ表面で物質交換速度が底面せん断力の0.4乗(平均流速の0.8乗)に比例することを示している。フィックの法則に当てはめると、物質交換速度は、対象となる物質の分子拡散係数/DBLの厚みと考えることができるため、この法則はDBLの-0.8乗に比例すると見ることができる。この値は、本研究で実験的に得られたDBLの厚さが平均流速の-0.78乗という結果と整合的である。ただし、光合成速度や呼吸速度は、流速とはあまり良い相関は得られておらず、サンゴ内外の物質交換速度以外の要因に律速されている可能性が示唆された。
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