2021 Fiscal Year Research-status Report
不均一な微生物環境の炭素窒素の移動を検出する簡易微量燃焼GC/MSシステムの開発
Project/Area Number |
20K12149
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
勝山 千恵 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10580061)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安定同位体トレーサー / ガスクロマトグラフ質量分析計 / GC/MS / 元素分析 / 土壌 / 植物共生微生物 / 菌糸圏土壌微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌のような不均一な環境では、微生物が存在量および種類ともに不均一に分布しており、物質の移動および変換も不均一に起こっている。例えば申請者らは、真菌の菌糸周囲土壌(菌糸圏)という微小環境が、炭素(C)および窒素(N)を始めとする元素の受け渡しのホットスポットとなっている可能性を見出してきた。安定同位体トレーサーを用いて不均一な微生物環境における13Cおよび15Nの移動と分布を検出するためには、微小かつ広範囲の試料を扱う必要があるが、現状ではそのために高価で高度な専用機器を選択せざるを得ない。本研究では、より汎用性の高い方法を確立するため、微小な固体生物試料におけるCおよびNの量と安定同位体比を簡易かつ安価に検出する「微量燃焼ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)システム」を開発することを目的とする。 本年度は、微量燃焼およびGC/MS測定条件の検討において、燃焼条件の検討に着手した。酸化炉における燃焼時間と酸化銅の量による生成CO2ガス量への影響を検討し、暫定的に条件を決定した。試料の量および種類によって条件の変更が必要な場合には検討する。還元炉の燃焼時間についても検討を開始した。また、改良したヘリウム置換口兼ガス採取口を小スケール化した閉鎖系の石英燃焼管に取り付け、生体試料の同位体比分析に向けて土壌試料やアーバスキュラー菌根菌-タマネギ共生培養系の根の断片試料を試験的に燃焼し、GC/MS解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在まで、燃焼管の小スケール化、ヘリウム置換およびヘリウムカバーによる大気由来のコンタミネーション最小化および燃焼条件の検討を行ってきたが、1年以上の研究中断期間があったため、当初予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
微量燃焼およびGC/MS測定条件の検討において、酸化炉および還元炉の燃焼条件の検討、GC/MS分析条件の検討、検量線の作成およびエポキシ樹脂共存時の試料中13C同位体比分析に取り組む。さらに、実際の生物試料を用いてTC, TNおよび13C, 15N同位体比の分析を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に新型コロナウィルス感染拡大防止のため物品購入を控えていた時期があり、また2020年度途中から2021年度途中まで研究中断期間があったため、次年度使用額が生じた。学会はオンライン開催であったため、旅費を使用しなかった。次年度は主に、燃焼管やその周辺の特注物品、燃焼装置やGC/MSの消耗品、安定同位体試薬や標準物質試薬の購入に使用する。また、分析の準備等で研究補助員を雇用するため人件費・謝金を使用する。
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