2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of emission, diffusion and deposition processes of reactive nitrogen between soil and atmosphere using radioactive gases
Project/Area Number |
20K12150
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
反町 篤行 東洋大学, 理工学部, 教授 (60466050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和秀 東京農工大学, 農学部, 教授 (50409520)
和田 龍一 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (90566803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラドン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大気-林床における反応性窒素の放出・拡散・沈着過程を解明するため、東京農工大学FM多摩丘陵の演習林に設置された観測鉄塔において実施した。反応性窒素は一酸化窒素(NO)およびアンモニア(NH3)を対象とした。森林キャノピーから林床および林床付近における物質の移動速度を推定するため、化学的に不活性で希ガスであるラドン濃度を測定した。移動速度の推定方法は、土壌からのラドン散逸率およびラドン濃度の鉛直分布のデータから推定した。2020年の夏季(20日間)における観測結果から、森林上から林床までの輸送過程では、林床付近の物質移動が律速となる可能性が示唆された。 アンモニアでは、樹冠上および林床の3高度でアンモニアの濃度勾配観測を行った。2020年9月~2021年7月に原則1週間ごとの連続サンプリングを行った。着葉期、落葉期ともに林床付近におけるアンモニアの放出が確認された。一方、両期間ともに、ほとんどの期間で、樹冠上での濃度が林床よりも高かったため、林床付近で放出されたアンモニアが森林から放出されるには至らないと考えられた。 一酸化窒素では、2020年冬季に約10日間、2021年8月~11月および2022年3月~4月に一酸化窒素の鉛直濃度プロファイル測定を行った。2018年夏季観測結果を加えた解析から、夏季における昼間での一酸化窒素は、0.1 mでの濃度が最も高く、次に樹冠上での濃度が高かった。一酸化窒素は樹冠上からの流入と林床からの放出の2つのソースがあることが明らかになった。一方、冬季では高度による濃度変化はあまり見られなかったため、林床から放出していることが示唆された。林床での濃度の季節変動は土壌微生物活性の違いが寄与している可能性が示唆された。今後、樹冠上と林床における反応性窒素の関係性についてラドンを用いた輸送過程の側面から調査する予定である。
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