2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of UV toxicity for the genome of skin with defective melanin synthesis and the elucidation of its mechanism
Project/Area Number |
20K12158
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池畑 広伸 東北大学, 医学系研究科, 講師 (90250737)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メラニン / 紫外線 / 皮膚 / ゲノム毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚表皮に存在するメラニン色素は強力な環境ゲノム毒性因子である紫外線から皮膚を防護しているが、メラニン合成異常が逆に紫外線毒性を増強する場合もある。本研究ではまずメラニンの皮膚ゲノムに対する防護機能や毒性機構を生体皮膚で直接解析できる解析系をマウスで開発する。開発した系で誘発突然変異頻度を指標に正常メラニンの防護能を定量的に明らかにする。その上でメラニン合成異常の紫外線皮膚ゲノム毒性に対する影響を評価し、介在するゲノム毒性機構を解明する。本年度は表皮にメラノサイトの常在するK14-SCFマウスと突然変異解析用に大腸菌lacZ遺伝子をレポーターとして有するトランスジェニックマウス(Mutaマウス)を交配し、皮膚表皮にメラノサイトの常在する突然変異解析用マウスを作成し皮膚で紫外線ゲノム毒性が評価できる系を開発した。メラニン合成の正常な野生型として遺伝子型がa/a B/B C/C E/E P/Pのマウスを作出した。開発マウスの皮膚を組織学的に解析し実際にメラノソームが表皮に局在していることを確認した。本年度は作出した野生型マウスで紫外線に対する正常メラニンの皮膚ゲノム防護能の定量的評価を行った。実際にはマウス皮膚の背中を除毛し、3日後麻酔下で紫外線UVBを照射した。4週間後に照射部皮膚を採取し、表皮・真皮それぞれで誘発された突然変異をそれぞれの組織のゲノムDNAから回収したlacZトランスジーンでモニターした。対照としてK14-SCFトランスジーンを持たないMutaマウスでも同様の解析を行った。その結果、表皮にメラニンを有するK14-SCFトランスジェニックマウスで対照マウスよりも有意に低い突然変異誘発が表皮・真皮両組織で観測され、表皮メラニンによる紫外線ゲノム毒性の抑制効果が確認できた。またUVBにより皮膚表皮・真皮に誘発されるDNA損傷もELISA法で定量し、表皮メラニンにより損傷生成が抑制されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほぼ予定どおり進んでいるが、交配過程でlacZトランスジーンに変異が入ったものが混入し、それを排除するのに時間を要したため、野生型マウスの確認実験における突然変異解析が十分な数のマウスが得られず遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型マウスのlacZトランスジーンに変異のないことを確認の上、メラニン合成系に変異のある遺伝子を導入したマウスを作出し、紫外線ゲノム毒性に対する影響を解析する。
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Causes of Carryover |
マウス交配の遅れにより研究進行が遅れたため生じた。マウス交配を進め本年度予定していた研究を次年度に実施し使用する計画である。
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