2020 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷トレランスにおけるストランドトランスファー反応の分子機構の解明
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20K12159
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 理加 (楠本理加) 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任助教 (90514133)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TLS / CPD / DNA損傷トレランス |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノムDNAの複製は主に複製型DNAポリメラーゼが担うが、DNA上に生成された損傷により阻害される。これに対し、細胞はDNA損傷トレランスというDNA損傷を残したまま複製を再開させる機構を備えている。DNA損傷トレランスは現在のところ、損傷乗り越え型DNAポリメラーゼによる損傷乗り越え合成(translesion synthesis: TLS)または姉妹染色体の相同配列を利用した反応(homology-dependent repair: HDR)により行われると考えられている。本研究では、紫外線損傷であるシクロブタン型ピリミジン二量体(cyclobutane pyrimidine dimer: CPD)のTLS活性を欠損している色素性乾皮症バリアント群(XP-V)細胞の抽出液を用いてHDRを検出する系を構築しようとしている。CPDを含むDNA を放射性同位体によりラベルした。これを基質として、XP-V細胞抽出液や基質のDNA配列と相同配列をもった姉妹染色体のモデルDNAなどを用いてHDR反応の一部を再現できた。しかし、この条件では損傷を含まないDNAを基質として用いても同様の結果となってしまった。そこで、損傷が存在するときにのみHDR反応が起こるように、姉妹染色体のモデルDNAの長さや形状を変えるなどの条件検討を行った。現在のところ、損傷特異的な反応が検出できるような条件は見つかっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
損傷を含むDNAのHDR反応の一部を再現しようとしたところ、損傷を含まないDNAでも同様の結果が得られてしまい、その対応をすることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
損傷が存在するときにのみHDR反応が起こるように、姉妹染色体のモデルDNAの長さや形状を変えるなどの条件検討を引き続き行なっていく。行った。また、UVを照射した細胞より抽出液を作成するなど、細胞抽出液の条件も検討していく予定である。
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