2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K12178
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 菜花子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 研究員 (50402863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 聖恵 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80289363)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピゲノム / ヒストン修飾酵素 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではヒストン修飾酵素が放射線の生物効果に与える影響について検討することを目的としている。ヒストン3のK36をメチル化する酵素NSD2を欠損したマウスは発育不全、免疫不全を呈し、DNA修復に関わっていることが予想されていた。そこで、我々はNSD2欠損細胞を作製し、DNA損傷応答に対する影響を評価した。その結果、NSD2欠損細胞は、X線感受性に変化を示さず、紫外線、DNA合成阻害薬に対して高い感受性を示した。一方で、NSD2の遺伝子発現への影響について探索し、NSD2欠損細胞ではSLFN11という遺伝子の発現が亢進していることを見出しました。SLFN11とは、治療抵抗性がんの遺伝子発現データベースから見つかった共通の遺伝子で、DNA合成阻害薬の効果を高める遺伝子として知られている。がん細胞の半数はこの遺伝子発現が低下していることから抗がん剤に対して抵抗性を示す。SLFN11はDNA合成時にRPAにリクルートされてDNA合成を停止する働きが報告されている。我々は、NSD2欠損の発育不全、免疫不全がSLFN11発現亢進によるものと仮説を立て、この二つの関連性について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NSD2が直接的にDNA損傷修復に関わっているという予想とは異なるが、SLFN11の発現を制御することによるDNA損傷応答の変化は解明しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
SLFN11発現の変化のDNA損傷応答への影響を解析する。
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Causes of Carryover |
計画時の予想と異なる結果が得られたため、次年度に新規に試料を作製して解析する。
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