2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K12178
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 菜花子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 研究員 (50402863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦 聖恵 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80289363)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA修復 / ヒストン修飾酵素 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nuclear receptor-binding SET domain-containing 2 (NSD2)は、ヒストンH3リジン36(H3K36)特異的メチルトランスフェラーゼであり、さまざまな転写調節因子とDNA修復因子の両方に関連しているが、DNA修復におけるNSD2の分子機能はまだ分かっていない。本研究では、放射線に誘導されたDNA二重鎖切断に対するNSD2の機能について解析した。2023年度は、DNA二重鎖切断部位へのNSD2の局在を免疫蛍光法にて観察した。内在性NSD2の核内局在は、UVAレーザーによるDNA損傷に対して変化を示さなかった。次に、DNA修復経路の一つ相同組み換え(HR)におけるNSD2の機能を、HRレポーターアッセイによって解析した。NSD2欠損によりHR効率はわずかに増加し、NSD2過剰発現によりHR効率は低下を認めた。一方で、NHEJ(非相同末端結合)修復レポーターアッセイにおいては、NSD2欠損・過剰発現は修復効率に影響を及ぼさなかったが、non-c NHEJ修復においてはNSD2過剰発現によって修復効率が増加した。また、HR修復に関わるタンパクRad51の核内動態を解析すると、 NSD2を過剰発現する細胞において、DNA損傷部位に集積するRAD51の数は、 野生型細胞よりも有意に少なかった。これらの結果から、NSD2はこれらの結果は、NSD2が全体的なDSB修復効率に影響を与えることなく、IR後のRAD51集積形成を抑制することで、NSD2がDSBの末端切除を阻害してnon-c-NHEJを抑制することが示唆された。
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