2022 Fiscal Year Annual Research Report
Role of phospholipid remodeling in lung fibrosis caused by the harmful particulate matters
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20K12190
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety Japan Bioassay Research Center |
Principal Investigator |
武田 知起 独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター(試験管理部、病理検査部), その他部局等, 室長補佐 (60596831)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有害粒子状物質 / じん肺 / リン脂質 / 肺サーファクタント / 結晶性シリカ / 酸化インジウムスズ / 肺胞マクロファージ / 2型肺胞上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
PBSに懸濁した酸化インジウムスズ (ITO: 10 mg/匹) またはMin-U-Sil5 (20 mg/匹) を雌ラットに単回気管内投与し、投与3日後、28日後、26週後および52週後に解析した。その結果、肺の肥大化、気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中の好中球数及びLDHの高値が投与3日後から持続してみられた。さらに、病理組織学的解析の結果、ITO群では主に肺胞マクロファージ障害による肺胞蛋白症が急性期から持続的にみられ、時間経過とともに悪化傾向であった。さらに、投与52週後には腫瘍性病変も散見された。一方、Min-U-Sil5群は急性期には脈管周囲のリンパ球集簇や間質での貪食マクロファージ集簇がみられ、慢性期には膠原繊維や過形成病変を中心とした大結節性病変を認めた。このように、両物質間で質的に異なる肺障害の出現 (ITO:気腔内病変主体、Min-u-sil5: 間質病変主体) が確認できた。続いて、投与後のBALFと血漿を用いてメタボローム解析を行ったところ、ITO群では肺胞蛋白症を支持してBALF中で100種を超えるリン脂質群の増加が顕著に認められた。Min-u-sil5群ではそれらの増加は限定的であったが、一部のPCやLPCおよびPEについてはBALF中で10倍以上の増加を認め、Min-U-sil5ばく露により肺内のリン脂質合成・代謝系あるいはリモデリング経路に変化が生じ、かつその影響には選択性がある可能性が浮上した。さらに、両物質に共通してスフィンゴミエリンやセラミドなどの増減も多数みられ、肺内でのこれら脂質代謝系にも異常をきたしていることが示唆された。血中では、両物質に共通してオレアミド等の脂肪酸アミドや一部のリゾリン脂質 [LPC(18:2)、LPC(16:1) 等] の増加を認めたほか、各物質に特徴的なセラミドの増加が推定された。
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