2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代に引き継がれるストレス由来雄性生殖障害の分子基盤解析-エピゲノムの観点から
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20K12193
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
宮宗 秀伸 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (80422252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (00232471)
小川 夕輝 東京医科大学, 医学部, 助手 (20529250) [Withdrawn]
表原 拓也 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (40800545) [Withdrawn]
永堀 健太 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (50759561) [Withdrawn]
倉升 三幸 (北岡三幸) 東京医科大学, 医学部, 助手 (70468643) [Withdrawn]
高野 海哉 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (70620475)
松野 義晴 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (00376378)
吉岡 広陽 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (50523411)
横田 理 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (70706605)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Early life stress / 新生児期母児分離 / 雄性生殖器系 / セルトリ細胞 / p27 / コルチコステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では新生児期母児分離ストレスが雄性生殖器系へおよぼす影響を評価する。2020年度から2021年度にかけて、新生児期母児分離ストレスがマウスにおいて思春期以降に、精巣の重量減少、精細管の萎縮、造精細胞数の減少、セルトリ細胞数の減少、精上皮の活性減少、精巣上体尾部の成熟精子数の減少、および血中テストステロン濃度の減少を引き起こすことを確認し、さらにセルトリ細胞数の減少を引き起こすメカニズムとしてストレスホルモンであるコルチコステロンとサイクリン依存性キナーゼインヒビターp27(セルトリ細胞増殖停止因子)が関係している可能性を示唆するデータが得られた。すなわち発達早期にコルチコステロンを投与したマウス精巣では思春期前のライフステージにおいてp27陽性セルトリ細胞数の増加とセルトリ細胞数の減少が認められた。これに対して2022年度は発達早期にコルチコステロンを投与したマウスについて、雄性生殖器系における影響の評価を、思春期以降のライフステージにおいて行った。セサミオイルに溶解したコルチコステロンを生後1日目 から10日目まで、一日当たり0.36 mg/kg body weightの量で、皮下注射によって投与し、10週齢時において評価したところ、セサミオイルのみを投与した対照マウスと比較して、コルチコステロン投与マウスでは精巣重量の減少やセルトリ細胞数の減少、精巣上体尾部に存在する成熟精子数の減少が認められた。 また研究代表者らは本研究に用いるストレスモデルマウス作成のためのプロトコールの構築を既に終えているが、2022年度はモデルマウス作成プロトコールの改良を試み、一定の成果を出しつつある。すなわちこの手法はこれまでのモデルと同様に新生児期に児にストレスを誘導することにより雄性生殖器系に健康影響を生じるモデルであるが従来法よりもより強い影響をおよぼす可能性が見込まれており、現在詳細評価を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は新生児期母児分離マウスから得られた精子について、エピゲノム解析を実施する計画であったが、発達早期にコルチコステロンを投与したマウスに関する思春期以降における雄性生殖器系への影響の評価解析を優先したことから、実施に至っていない。しかしながらこの解析は、新生児期母児分離ストレスが雄性生殖器系へ健康影響を生じるメカニズムの解析のために必要であり、解析を優先させたことは研究ストラテジーの観点から妥当であったと判断している。また、エピゲノム解析については外部委託業者との打ち合わせを重ね、解析に要する試料の精製度の確認をはじめ、解析に支障が生じないように委託業務に関する調整を行ってきた。このことから、現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断したが、研究計画の遅れについては本研究課題の補助事業期間の延長を行うことで対応する。発達早期にコルチコステロンを投与したマウスに関しての思春期以降における雄性生殖器系への影響の評価解析は完了しており、エピゲノム解析に供する精子ゲノムDNAの精製方法の条件検討も既に完了していることから、さらに研究計画が遅れる要素は現在のところ見込まれないと判断しており、研究計画そのものの大幅な変更の必要はないと思われる。研究計画にある「新生児期母児分離ストレスが次世代の雄性生殖器系におよぼす影響の評価」についても、2023年度に実施する。
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Causes of Carryover |
2022年度はモデルマウスから得られた精子についてエピゲノム解析を実施する計画であったが、当該年度は発達早期にコルチコステロンを投与したマウスに関して、思春期以降における雄性生殖器系への影響の評価および解析を優先したことから、実施に至っていない。次年度使用額が生じた理由は、2022年度にエピゲノム解析に充てることを想定していた使用額に対して実際に実施した上記解析に使用した使用額との差額による。これについては既に購入済みであった消耗品や試薬を使用することが可能であったため金額負担は軽減されており、エピゲノム解析の実施にあたり使用額残額の問題は生じていない。2022年度に実施予定であった解析は研究最終年度である2023年度に実施し、生じた次年度使用額はこれに充てるものとする。
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Research Products
(6 results)