2021 Fiscal Year Research-status Report
多面的指標を用いた神経発達毒性の新たな評価系の構築
Project/Area Number |
20K12199
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
伊藤 智彦 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (60391067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経発達毒性 / マウスES細胞 / 殺虫剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度はマウスES細胞を用いた神経発達培養系と殺虫剤曝露による影響解析を更に推進した。R2年度では、マウスES細胞由来神経前駆細胞から神経系細胞に分化すると同時に6種の殺虫剤を曝露した結果、神経系細胞への分化抑制効果が見られた。R3年度は殺虫剤による曝露影響の機序解析を行った。マウスES細胞由来神経前駆細胞から分化と同時に曝露して24時間後、RNAを抽出し、遺伝子発現変動をRNA-sequence法で解析した。PCA解析の結果、アセチルコリンエステラーゼ阻害、ナトリウムチャネル活性化といった共通の急性毒性作用を持つ殺虫剤同士でも遺伝子発現の類似性は高くない結果が得られたことから、古典的に知られている毒性作用とは異なる遺伝子レベルでの影響があることが示唆された。また、ネットワーク解析から、比較的、共通に変動している転写因子としてLIM Homeobox 5(LHX5)があり、分化抑制効果の候補遺伝子である可能性が示唆された。 一方で、神経系細胞への分化解析について、多数の化合物の解析に対応するため、スループット化を行い、マウスES細胞にGfapレポーター遺伝子を導入して解析も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
評価系として当初、5種類を想定していたが、その内、シナプス形成への影響、が未実施のままである。培養系としては、神経への自発的な分化といった十分に制御できていない面もあるが、概ね、順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで6種類の殺虫剤を中心に解析してきたが、解析対象を他の神経発達毒性候補物質として有機リン系、塩素系難燃剤等の解析を行う。また、将来の発展性を考え、近年、開発が進められている生体模倣システム(MPS)を利用した、より生体に近い条件を兼ね備えた神経発達毒性解析系の開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品の購入について、より安価でスループット性のあるプレートリーダー装置の購入を行ったため、次年度使用額が生じた。R4年度予算と合わせ、計画に沿った他の化合物への解析の拡大を行うとともに、本研究で実施している評価系を更に発展させるため、新規の培養ツールを利用した新たな評価系の検討を行う。
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Research Products
(2 results)