2020 Fiscal Year Research-status Report
淡水域で障害を引き起こすカビ臭産生シアノバクテリア情報についての基盤整備
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20K12201
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
辻 彰洋 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40356267)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プセウドアナベナ属 / カビ臭 / 2-MIB / geosmin / Microcoleus |
Outline of Annual Research Achievements |
カビ臭を産生するプセウドアナベナ属の3種5分類群(P. yagii, P. foetida v. foetida, P. foetida v. subfoetida, P. foetida v. intermedia, P. cinerea)の9株について、全ゲノム解析を行った。現在、解析中であるが、ほとんどの株について、完全長のアセンブルに成功した。ゲノムサイズは、4.7-5.5MBであった。また、最大200kbのPlasmidを0-4個存在した。2-MIB gene clusterの解析などについては、今後引き続いて実施予定である。 同様にカビ臭を産生する2019に申請者らが新種記載したMicrocoleus pseudautumnalisなど、Microcoleusおよび関連属の3分類群についても全ゲノム解析を行った。これらについても、アセンブルの途中であり、解析は今年度行う。 関連してMicrocystin毒を産生するAnnamia dubiaを霞ヶ浦から新種記載した。本種はプセウドアナベナ属に極めて類似しているが、チラコイド膜の配列が異なり、遺伝子を用いた系統樹でも明確に異なるクレードに出現する。また、関連属と科の分類学的な混乱を整理し、新科 Geminocystaceaeを提案した。 分類学的な混乱を避けるため、カビ臭を産生しないプセウドアナベナ属についても分類学的な検討を引き続いて行った。欧米から記載された種の多くが簡単な図しか残されていないため、比較が困難で手間取っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カビ臭を産生するプセウドアナベナ属の全分類群の全ゲノム解析に成功しつつあり、今後の発展に資すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム解析を完成させ、論文化を行い公表することを最大の目標とする。 Microcoleus関連では、M. autumnaleの実体を明らかにすると共に、関連種の分類学的な整理を行い、カビ臭の賛成との関係を明らかにしたい。 Dolichospermum関連種については、当館が保有するゲノムの全てについてカビ臭に関係する遺伝子解析を行い、産生種の実体を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ状況下で、調査に制約がかかり、また、謝金の人の遺伝子作業が停滞してしまったため、次年度に繰り越した。今年度に、その分を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)