2020 Fiscal Year Research-status Report
Development and application of the assessment of urinary mercury using gold nanoparticles
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20K12204
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
原口 浩一 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 主任研究員 (80500660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 峰至 国立水俣病総合研究センター, その他部局等, 所長特任補佐 (60344420)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオモニタリング / 金属水銀 / 加熱気化-原子吸光法 / 金精錬 / 水俣条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)金ナノ粒子を使っての水銀-金アマルガム化方法の最適化、及び2)水銀-金アマルガムの加熱気化条件の最適化を行った。1)金(III)とシリカゲルの低温焼結によって作成した金ナノ粒子は1分間の振とう(150 rpm)では83%の水銀(Hg2+)回収率であったが、3分間の振とうによってHg2+溶液のほぼ全量を回収した。抽出時のpHを1から10に調整したHg2+溶液の回収率は、pH5-6では0.97-1.02であったのが、<pH3の酸性領域では徐々に低下し、pH1では0.02であった。すなわちpH酸性領域(pH <3)ではHg2+の溶解度が大きく、微細表面構造の金には捕集されない。抽出pHを調整後、金ナノ粒子>40 mg/mlになるように充填すると職業性非曝露者レベルの水銀であってもほぼ全量を回収した。2)加熱気化金アマルガム法では耐熱ボートにのせた試料を加熱炉に入れ800℃に昇温し、発生した水銀蒸気を原子吸光計で測定する。金ナノ粒子の担持体としたシリカゲルの耐熱温度は800℃以下のため温度設定が必要となる。あらかじめ金(III)とクロマトグラフィー用シリカゲルの低温焼結によって作成した金シリカゲル粒子に水銀を吸着させた試料を用意し、試料中水銀の99%以上が吸光セルに導入できる気化条件として、昇温速度6℃/秒、到達温度610℃、加熱時間4.5分を設定した。現在、加熱気化装置への試料導入が可能な容器作製と評価に取り組んでおり、作製後は水銀抽出後の金ナノ粒子の回収が簡便化されるため、金採掘・精練現場での金ナノ粒子を用いた繰り返し測定が可能になることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画の1年目は、水銀-金アマルガム化方法と水銀の加熱気化条件を最適化することであった。水銀-金アマルガム化方法については、溶液中水銀を高い回収率で得るためのpH条件を決定した。加熱気化条件に関しては、加熱気化原子吸光装置の昇温速度、到達温度、測定流量の最適条件を決定した。年次計画の1, 2年目実施を予定した保存方法については、加熱気化装置への試料導入が可能な容器を水銀-金ナノ粒子の回収・保存用としても使用するための作製試験中である。
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Strategy for Future Research Activity |
年次計画の2年目は、金採掘・精練現場での尿中水銀抽出後の金ナノ粒子の回収を簡便にするための、加熱気化原子吸光装置への試料導入が可能な水銀-金ナノ粒子の回収・保存容器を作製する。試料中水銀の安定を確認後、新型コロナウィルスの移動制限の解除後、金精錬現場を持つ国での金ナノ粒子を使った尿中モニタリング手法のフィージビリティ・スタディを年次計画2-3年目に実施する。ベトナムハノイ郊外の金精錬作業員と山間部の金採掘現場作業員の尿を入手して、現地にて水銀-金アマルガム化した水銀試料と採取尿を、常温輸送と冷凍管理輸送のそれぞれの方法で日本国内に輸送し、輸送方法を含めた分析法の頑健性を評価する。ベトナム国内での移動制限が継続するようであれば、水銀モニタリングで連歴するアジア太平洋地域の保険省から調査地域の提案を得ることにしている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの移動制限の解除後にR2に実施できなかた金採掘・精錬作業場の選定 (ハノイ :3日間×1回×2人)を直ちに実施するため
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