2023 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラスチック含有重量を簡便に測定する手法の開発
Project/Area Number |
20K12208
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
朝倉 宏 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (00391061)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | マイクロプラスチック / 含有重量 / 測定方法 / 重液 / 蓄積速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロプラスチック(MPs)による環境汚染が懸念となっており,各国で対策が取られている。MPsが減少していくという仮定を検証するならば,職業研究者によるコストのかかる調査結果だけを期待せず,市民でも実施できる調査方法を開発し,MPsのデータの蓄積速度を上げる必要がある。 高校生であっても実施可能な簡単な砂浜のMPs調査方法の確からしさを評価した。メジャーと段ボールという簡単な用具による測量では,20m程度の距離の測量を複数回行うと,ずれの7割は20cm程度以内に収まった。重液を用いずとも,海水のみであっても89%のMPsを回収できた。砂の表層0.5cmの採取によるMPs含有量調査であっても,その下50cm程度まで採取したときの半分以上のMPsの含有量を説明できた。回収したMPsを目視選別せずとも,煮沸後の浮上物をMPsとみなす方法(煮沸法)を採用してもよい。軽石混入の心配がなければ,MPsの過剰な見積もりは約1.5倍に収まった。バケツ,ふるい,海水,ホットプレート,乾燥器,電子天秤などの簡易な実験器具によっても,MPsの定量下限値は13mg-MPs/m2-砂および2mg-MPs/kg-砂が達成できた。 MPs環境汚染のポテンシャルを表現する漂着速度測定と,複数の砂浜間のMPs存在量の比較を可能にする測定値の重み付けを行った。定点で定期的にMPsを採取測定することによって調査対象地へのMPs蓄積速度を測定したが,信頼できる代表値や明確な傾向は得られなかった。ホットスポットおよび非ホットスポットにおけるMPs含有量を,それぞれの面積で重み付けすることによって,調査対象地全体におけるMPs存在量を「平均値および誤差(mg-MPs/m2-砂)」という代表値とばらつきで示すことができた。
|