2023 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質による個体群・群集レベルの生態影響を評価する室内試験方法の開発
Project/Area Number |
20K12212
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
眞野 浩行 (真野) 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40462494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 直秀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50415692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生態影響評価 / 化学物質 / 金属 / 界面活性剤 / 個体群 / 群集 / 密度効果 / 種間競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「化学物資の生態影響試験のモデル生物であるオオミジンコを用いた密度効果および種間相互作用を考慮した簡便な室内試験方法を開発すること」を目的とした。2020年度では、亜鉛および直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)を対象化学物質として、密度効果を考慮した対象化学物質の生態影響試験及び種間競争を考慮した生態影響試験を実施するための予備検討を行った。検討結果から、試験で設定する対象化学物質の曝露濃度、オオミジンコの個体数密度、餌濃度の範囲、オオミジンコに対する競争種を決定できた。2021年度及び2022年度では、個体群への化学物質の影響評価するための試験として、亜鉛及びLASを対象に、曝露濃度と試験個体数の密度を変えたオオミジンコの生命表試験を実施した。この結果、個体数密度に対するオオミジンコの個体群増加率の応答への対象化学物質の影響を検出することができた。また、種間競争を考慮した化学物質の生態影響試験として、ミジンコ種間の餌資源競争の結果を決定する形質の1つである餌閾値濃度(個体群が維持される最低の餌濃度)への亜鉛及びLASの影響を調査する試験を実施した。試験結果から、亜鉛およびLASの曝露濃度の増加に伴い、オオミジンコの閾値餌濃度が増加する傾向を示すことができた。2023年度では、オオミジンコの競争腫として選定したマギレミジンコ(D. ambigua)の餌閾値濃度(個体群が維持される最低の餌濃度)に対する亜鉛の影響を調査する試験を実施した。試験結果から、マギレミジンコの閾値餌濃度は、亜鉛の曝露濃度が低いとオオミジンコの閾値餌濃度よりも低かったが、亜鉛の曝露濃度がある一定の濃度よりも高くなるとオオミジンコの閾値餌濃度より高くなることが示された。この結果から、亜鉛の曝露濃度によって、マギレミジンコとオオミジンコの種間競争の結果が変わることを示すことができた。
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