2020 Fiscal Year Research-status Report
難分解物質の高効率処理に資する特異な新規有機ホスト無機複合系分離反応場の設計
Project/Area Number |
20K12218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松宮 弘明 名古屋大学, 未来社会創造機構, 准教授 (10362287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アドミセル / 界面活性剤 / 金属ナノ粒子 / ヘキサクロロベンゼン / 分解 / 有機溶融塩 / セルロース / 5-ヒドロキシメチルフルフラール |
Outline of Annual Research Achievements |
天然の酵素や微生物を環境浄化に利用する試みは数多いが、一般に生物分解は操作条件に敏感であり、また汚染物質との接触効率の向上が難しく、長時間の処理を要するなどの問題点がある。本研究では、これらの諸問題をバイオ技術とは別のアプローチで解決することを考えた。即ち、天然酵素の優れた反応促進機能を再現する触媒部位(金属クラスターなど)に捕集機能を受け持つ分離媒体(界面活性剤分子凝集体など)を組み合わせ、分離場としても反応場としても機能する新規有機ホスト無機複合体を調製し、これに難分解物質を濃縮した後、そのまま分解する高効率な環境浄化システムの構築を目指した。 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で規制対象物質になっているヘキサクロロベンゼンを主な対象とし、鉄系二元金属粒子とアルキルアンモニウム系界面活性剤分子凝集体を多孔質シリカゲルの細孔内に複合担持して、この複合体の環境浄化材料としての利用を汚染地下水の処理を想定して検討してきた。他のクロロベンゼン類に比べてヘキサクロロベンゼンの脱塩素分解は難しく、完全な(未反応のヘキサクロロベンゼンが残存しないだけではなく、6つの塩素原子が全て脱離した生成物に定量的に変換される)脱塩素分解は達成できなかった。しかし、Fe/Ag系金属粒子を使用する脱塩素分解において、粒子合成の際に二種の金属の析出順序を調節すると分解性能が僅かながら向上し、完全な脱塩素分解に向けて有意義な知見が得られた。一方、アルキルアンモニウム系溶融塩を用いてセルロース系バイオマスの分解および資源化も検討しており、燃料やプラスチックの原料となる5-ヒドロキシメチルフルフラールの合成を試みている。デンプンに比べてセルロースからの合成は難しいが、短鎖アルキルアンモニウム塩をコリン溶融塩に添加すると収率の向上を示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に入る数か月前から感染拡大が始まったCOVID-19によって、平時に比べて実験活動が鈍化してしまい、予備的な知見しか得られなかった。進展が期待できる知見ではあるが、1年間の研究成果としては十分とは言い難く、やや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた知見を基にして、ヘキサクロロベンゼンの完全な脱塩素分解を目指して検討を進める。また、セルロースの分解および5-ヒドロキシメチルフルフラールの合成について収率の向上を目指す。
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Causes of Carryover |
購入を考えていた機器を購入する必要がなくなったため次年度使用額が生じた。また、当該年度に入る数か月前から感染拡大が始まったCOVID-19によって、平時に比べて実験活動が鈍化してしまい、予算執行額が予定よりも下回った。次年度以降の物品費として予算執行する。
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Research Products
(1 results)