2021 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸のミクロゲル化およびカチオン化による一液型天然凝集剤の創出
Project/Area Number |
20K12235
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
榎 牧子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90342758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天然凝集剤 / アルギン酸 / ミクロゲル / 海藻 / バイオマス変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に高い性能を示す一液型アルギン酸凝集剤の調製条件の傾向が特定されたことを受け、2021年度は「凝集性能発現のメカニズムの解明」を目的とした。具体的には原料アルギン酸の性状(分子量など)がアルギン酸ミクロゲル(一液型アルギン酸凝集剤)の凝集性能に及ぼす影響の解析である。 まず、アルギン酸を豊富に含むホンダワラを原料として、塩酸処理(0~2.4 mol/L)および炭酸ナトリウム処理(0.01~2.0 mol/L)を施してアルギン酸系凝集剤を得、その分子量を測定した。その結果、得られるアルギン酸凝集剤の分子量が高い調製条件は、塩酸濃度が0.9 mol/L以下、炭酸ナトリウム濃度が0.075~1.000 mol/Lの範囲であった。また、アルギン酸凝集剤が比較的多く得られる条件は塩酸濃度が0.9~2.4 mol/L、炭酸ナトリウム濃度が0.075~1.000 mol/Lの範囲であった。このことから、アルギン酸の溶出を促すための塩酸処理と炭酸ナトリウム処理によってアルギン酸が分解して低分子量化すること、および、低分子量化の条件とアルギン酸溶出を促進する条件の間には相関がないことがわかった。 次いでアルギン酸凝集剤の調製条件ごとに、得られるアルギン酸凝集剤の分子量と凝集性能とを比較した。その結果、試験で用いた条件の範囲においては、分子量が大きいほど、凝集性能が低いという結果が得られた。分子量が大きいほど分子の沈降速度は速いはずであるが、今回の結果は分子サイズによる沈降速度促進効果以外の因子がより強く凝集性能に影響していることを示唆した。 目的のメカニズムを解明するためには、凝集性能と分子量との比較の範囲を広げるとともに、当初予定したMG比などのファクターの影響についても分析することが必要である。
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