2022 Fiscal Year Annual Research Report
地方創生に資する森林資源をセルロースナノファイバーに転換する乾式粉砕
Project/Area Number |
20K12240
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 武彦 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (50315636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 正剛 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40431613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオマス / 乾式粉砕 / 解きほぐし / ファイバー / バイオリファイナリー / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物由来の新材料であるセルロースナノファイバー(CNF)の利用が「脱炭素社会を引き寄せるイノベーションの加速化」として期待されている.そこで本研究では,乾式粉砕をキーとしたセルロースミクロフィブリルを解きほぐしとファイバー化を行う手法を確立するため,解きほぐしをアシストするオゾンの効果,解きほぐしを促進する粉砕力の二つについて調査し,以下の成果を得た. 1.タンデムリングミルを用いたオゾン付加粉砕において,オゾン付加を用いない粉砕と比べて酵素糖化率の向上が見られることから粉砕粒子に対するファイバー解きほぐしの効果は認められた.しかし,粉砕が進行し粒子サイズが減少すると粉体挙動のコントロールが困難となりオゾンを安定的に作用させることが困難である.2.このタンデムリグミル粉砕で,粉砕物である杉のセルロース結晶化度,ドメインサイズがどのような影響を受けるのかについて,リング媒体粉砕における粉砕状態を接触応力とせん断角速度で定義し粉砕物の構造変化を調査し,粉砕粉末のメディアン径は接触応力とせん断角速度に関係なく凝集によって増加すること,接触応力は結晶化度と正の相関を示し,ドメインサイズとは負の相関を示すことが確認できた.一方で,せん断角速度は結晶化度とドメインサイズと相関がないことも確認できた.3.タンデムリングミルを用いた粉砕では,接触応力とせん断角速度に関係なく凝集が進行することから,ファイバー形態を得るためには凝集を抑制する必要がある.そこで,アセチル化を用いた凝集抑制効果について検討しアセチル化による重量増加率が11%程度となると,20分程度の粉砕では凝集を抑制でき,ミクロフィブリルの結晶性を保った粉砕が可能となった. 以上より,本装置での粉砕力をベースとして,凝集抑制にアセチル化を行うことで,ミクロフィブリルの結晶性を保ちながら杉の繊維の解きほぐしが可能となる.
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