2020 Fiscal Year Research-status Report
高性能酸化物電極における非メタン炭化水素の電気化学酸化反応特性の解明
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20K12244
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
波岡 知昭 中部大学, 工学部, 教授 (90376955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 真一 中部大学, 工学部, 教授 (60598473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複合酸化物燃料極 / 炭化水素含有燃料 / ガス化ガス駆動 / 固体酸化物形燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
電解質に用いるLSGM9182,電極材料のSFNMとPBFNを固相法により作製し、その最適条件を検討した。 LSGM9182を固相法で作製したところ、Mg含有量のみが理論値から外れることがわかった。これは、仮焼成・本焼成の過程においてMgO(s)→Mg(g)+1/2O2(g)、およびMgO(s)→MgO(g)の反応の進行に伴いMgの高温蒸発が生じているためと考えられ、このことは平衡計算からも確認できた。以上のことから、MgOの蒸発を見込んで試料の調整を行う必要があることがわかった。仮焼成温度を1200℃で一定とした場合、本焼成温度が不純物相の生成・低減に影響を及ぼすことがわかった。本焼成温度を1450℃とすることで不純物相を大幅に低減することが可能であることがわかった。作製したLSGM9182のイオン導電率をセル抵抗から算出したところ、既往研究の値とほぼ同等の値であることがわかった。 SFNMを固相法で作製したところ、多くの不純物相が検出された。ただし、これを800℃で還元したところ、単相となることがわかった。PBFNに関しては、微量の不純物相が検出されたものの、概ね単相といえる結果であった。電極材料の作製条件の最適化に関しては、2021年度の課題である。 SFNMおよびPBFNをLSGM9182電解質ディスクの両面に焼き付けた対称セルを用いてインピーダンス測定を行い、オーム損失抵抗と分極抵抗に成分分離を行ったところ、SFNMもPBFNもNi-YSZのものと比べ1桁以上大きな値を示した。インピーダンス測定後、電極が電解質からボロボロと崩れ落ちる様子から現段階では電極・電解質ディスク間の界面接触抵抗が大きいものと考えられる。電極焼付条件の最適化も2021年度の課題として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受け、2020年度前期は研究活動自体を行うことができなかった。後期も研究室におけるクラスターが発生しないよう、人員の分散配置を行ったため、当初の計画に対して、現在の進捗状況は単年度計画の40%程度にとどまる。 コロナ禍の影響が解消したわけではなく、現在もクラスターが発生しないように通常の稼働率の5割程度で活動を行っているため、研究計画の遅れを挽回することは困難で、現在できることの最善をつくし、これ以上の遅れを最小限とするようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の検討の結果、明らかとなった課題・電解質材料・電極材料・電池作製条件の最適化は2021年前期中に目処をつけたいと考えている。また、2021年度後期は、加湿の有無、および水素分圧制御による反応機構解明・律速段階の推定を行う。また、2022年度に向けた、炭化水素供給の予備実験を行う。 2022年度はプラスチック・バイオマスガス化ガスを模擬した微量の炭化水素を供給し、炭化水素種やその濃度が電気化学性能、電極への炭素析出・電極劣化に及ぼす影響を評価する。
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